小型船は大型船に接近するだけで自殺行為

海上自衛隊の護衛艦あたごが漁船に衝突し、漁船の乗組員が行方不明になったニュースが世間を騒がしている。
もちろん、行方不明になった人たちが無事に発見されることを願うばかりであるが、漁船のような小型船が大型船に近づくことは自殺行為である。

私は経験もほとんど無い単なるペーパー船長ではあるが、10トン程度の小型船からみると、7000トンを超える護衛艦は蟻と人間規模の差があり、それ自体が出す波もすさまじい。
まともな神経の持ち主なら、近くに大型船があれば近寄らないのが常識。

海上衝突予防法などもあるが、同程度の規模の船同士ならともかく、まったく違う船の場合、そんな理論ではなく、実践でどう交わすかが重要だ。

今回の事故では、最新鋭の護衛艦が漁船の衝突を許すと言うテロリストなら喜びそうなネタを提供してしまった。気がゆるんでいるとしか思えない操舵で問題とすべきではあるが、漁船側の対応も問題となるのは当然だろう。

他の漁船はよけられたのに、該当船だけはなぜか衝突してしまった原因はよくわからない。このあたりをきっちりと解明した上でこの件について考えた方がいい。もちろん、海上自衛隊の事故後の対応は、ある程度責められても仕方のない部分もあるが、すべてが防衛大臣や、海上幕僚、艦長の責任であるとするような一方的な報道は真に受けない方がいい。

今回の件で、海上自衛隊の規律が見直されるのは当然として、レジャー船に対する漁船の対応、漁師がライフジャケットを着用しないことが多い件、海の事故で多いのが海上での行方不明だという点など、海に全く関係のない方々も海に囲まれた日本国である、海や船についてある程度理解する必要があると思う。