Amazon Kindleで日本語表示研究 その2 – 本のスキャンを考える

KindleではPDFファイルに日本語フォントを埋め込めば、日本語の表示が可能なことはわかった。
将来のアップデートか新モデル、もしくは他の電子ブックリーダーが本体に視認性の高い日本語フォントを組み込み完全対応すれば、フォント埋め込み問題はどうにでもなる。
実際、今でもKindleのファームウェアをハックすれば、日本語の表示が出来る。

しかし、本棚にある本をどうするかという問題はそのまま残る。

文字数の少ない英語の書籍なら、スキャンしてOCRで認識すれば、99%以上の精度で文字として取り込めるだろう。
しかし、日本語の場合は90%行けばいいほうだ。個人的な感覚として95%程度の精度で文字を認識しても、まともに読めない。アルファベット系の言語と同等になるのは当分先だろうから、これは期待できないし、人力で修正するのは青空文庫などなら別で、個人でやるには限界がある。

ということで、日本語の書籍をデジタル化するのに現実的なのは画像として保存することだ。

KindleにPDFで画像化したファイルを表示

何も考えずに、高解像度でスキャンしたものをPDFに出力し、それをKindleで表示したのがこれである。
とりあえず読めるが、はっきり言って視認性は悪い。

Original

オリジナルの画像はこれで、青空文庫のデータを一般的な文庫本風にWordでレイアウトし、画像として出力した物だ。
これはスキャンの状態が非常によい場合という設定だが、これで視認性が悪いと言うことは問題だ。

視認性が悪くなるのは、細い文字をKindleで表示する際薄くなりすぎているからだが、これは白黒の電子ペーパーと、その表示機能などが問題なのだろう。
これを解消するにはデバイスその物の問題もあり簡単にはできない。そこで、画像をKindleの解像度に合わせて出力すれば、視認性も高くなるのではないかと考えた。

一般的な文庫本は300ページとかあるので、自動化しなければならないが、PhotoShopなどのマクロを使うなどやり方はいろいろあるが、現実的ではない。
専用のソフトを作るのが一番いいが、それを実践している人がいた。

No.722というサイトで公開しているChainLPというソフトだ。

このソフトを使えば、各種電子ブックリーダーや携帯端末用に、解像度やガンマ・レベル補正などを最適化したPDFや様々な形式のファイルが出力できる。
ものすごく利便性の高いソフトである。

これを使ってKindle用に出力し、Kindleで表示したのがこれ。

Kindle

Chain LP Amazon Kindle用TEST出力PDF

この表示には問題はないし十分読めるレベルになったが、PCでこのファイルをみると解像度が荒すぎて視認性が悪い。これで十分な方もいるだろうが個人的には不満である。
そこで、Kindleの2倍の解像度で出力したPDFをKindleで表示してみた。

Kindle x2

違いがわかりにくいが、こちらの方が若干ながら視認性は高い。PDFをPCなどで表示しても悪くない品質だ。
問題はファイル容量で、この1ページで500kb程度になる。Kindleに特化すれば140kb程度だ。
この差は大きくて、300ページの文庫本で換算すると42MBと150MBと3倍以上になる。
Kindleの容量は1.5GB程度あるので、150MBでも10冊保存できる。これでも十分だが、Kindleだけで読むことを考えると無駄ではなかろうか。

ということで、オリジナルの高画質版はPC用や将来の高品質な電子書籍用にとっておき、Kindle用をChainLPで作成するのがいいのではないかと考えた。

つづく

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