エチレンプラントが事故になると川下製品に大打撃

三菱化学の鹿島事業所で2007年12月21日に発生したエチレンプラントの火災だが、11時32分に発生し、直後に報道されたにもかかわらず、株式市場は特に反応無く、持ち株会社の三菱ケミカルホールディングスの終値は先日を33円上回る900円。

昼過ぎの報道ではヘリの映像などもあり、プラントが全焼に近く燃えているのは明らかだった。これがエチレンプラントの火災となれば、川下の製品に影響を及ぼすのは必須で、普通に考えれば株は下がるところだが、なぜか上がっているという不思議な状況。

3日後の日経新聞には中核設備が3から4ヶ月停止でかなり影響があるという報道があったため、25日の市場では売られるようになると思われるが、当日上がるような市場であり、どうなるかはわからない。

そもそもエチレンプラントは、海外から輸入したナフサなどを分解・精製するもので、 エチレンはもちろん、石油化学コンビナートで製造する化学物質の原料を製造する中核装置である。石油化学コンビナートは、原料ナフサを基本として、パイプラインで接続された各プラントでそれを分解、合成などする事で製品を製造している。
当然のことながら、川上にあるエチレンプラントが動かなくなれば、石油化学コンビナート全体の操業に影響する。

鹿島コンビナートのエチレン生産能力は年間90万トンほどだが、唯一救われるのは今回の事故は、第2プラントでの事故で、エチレン生産能力にして約半分の年間45万トンほどの影響しかない。
しかし、鹿島コンビナートの生産能力自体は国内最大規模で、その半分が失われるというのは多大な影響を与える。

また、日本はもとより全世界の石油化学業界はアライアンスが複雑で、エチレンを使用した代表的な製品の一つポリエチレン(スーパーの袋から、ガス・水道パイプ、自動車部品などさまざまな物に使われている)は日本ポリエチレンが製造している。
日本ポリエチレンは、三菱化学、昭和電工、日本石油化学など、複数の企業からなる合併会社であり、これだけみても、三菱化学だけではなく、他の化学会社にも影響があることがわかるだろう。
これはポリエチレンだけの話で、ポリプロピレンなど他の化学製品でも似たような状況だ。
株式市場に投資するなら、このあたりのことも考慮すべきだろう。

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