日本で中途半端に成功しても世界では受け入れられない

ポータブルオーディオの世界では、テープメディアを使ったウォークマンが1980年代から世界的に普及した。
その後、ディスクメディアでポータブルのCDプレーヤーもそれなりに成功した。
その後、CDよりも小さいMDなるものをそれまでの市場で成功していたソニーが出すも、日本市場でそれなりに成功したが、海外市場ではほぼ受け入れられなかった。

MDは1990年台中盤から2000年代初頭までなんとか粘った物の、その後はフラッシュストレージを使用した物に変わっていった。

その中でも、いろいろあったが、対応するソフトウェアの完成度の高さ、そのもの自体の使い勝手などから一般に受け入れられたのがアップルのiPodだった。
iPodは世界的に成功し、その後のiPhoneなどへとつながっていく。

ソニーはMDの中途半端な成功体験がなかったら、フラッシュストレージを使用したポータブルオーディオももう少し何とかなったのでは無いかとも思えてくる。

歴史は繰り返す物で、日本市場向けの家電製品にテレビ番組の録画用のBlu-rayレコーダーなどがある。
これは、日本以外の市場ではほぼ普及していない製品ジャンルで、海外にはテレビ番組を録画するという文化自体が日本ほどに無い。
海外では、再放送やネットでの視聴、ケーブルテレビ局が提供する専用レコーダーで十分その市場がまかなえている。

そんな日本市場に特化した録画機器を多くの日本の家電メーカーが提供しているが、日本市場でそれなりに受け入れられても、海外市場ではまったく意味の無い製品となっている。
つまり、日本でどんなにがんばったところで、世界シェアなどには全く影響してこないというわけだ。

HD DVDとBlu-ray競争の時、Blu-rayが一応の勝利者となったが、実質的な敗者はBlu-rayをこれからも中心的に展開して行かなければならなくなったパナソニックやソニーである。東芝はHD DVD撤退後、SSDなどに投資していたようだが、Blu-rayよりはSSDの方が伸びるのは確実で、うまく投資していれば将来の利益に貢献していくだろう。

さらにその先に何があるか、まだわからないが、日本市場に特化した物を細々とやっていても、仕方が無いのは歴史が証明している。