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NVIDIAの台湾新本社はどうなるか 2026

NVIDIAは2025年のComputexで台湾に新本社を建設すると発表しました。

その時には具体的に台湾のどこなのかは明かされていませんでしたが、そもそも建築場所も正式に決まった物ではなかったようです。
いろいろあったものの、2025年11月に正式に契約がまとまり、北投士林科技園区 T17、T18区画に新本社が建築されるそうです。

2026年1月末にジェンセン・ファンCEOが台湾へ訪れるので、その時にこの区画の契約セレモニーも行われるようです。

北投士林科技園区 T17、T18区画

北投士林科技園区は市が開発を進めるエリアで観光地としても有名な士林の北側に位置します。
周辺には大病院や医療系の研究機関などがあることから、情報通信技術を活用したヘルスケア「eヘルス」や科学技術、スマート産業の集積地とすることを目指しています。

NVIDIAの新本社の設置場所となるこのT17、T18区画については入札が不調で、台北市が緩和した条件で、新光人寿が2021年にこの区画の土地計3.89ヘクタールの50年間の地上権を計44億台湾元(約180億円)で取得していました。

エヌビディアのジェンスン・フアン(黄仁勲)最高経営責任者(CEO)は5月、同社の台湾本社を台北市の北投・士林一帯に設置すると発表。この時に具体的な場所には言及していませんでしたが、蒋万安(しょうばんあん)台北市長は6月にNVIDIAから「T17、T18区画」と明言されたと明らかにしました。

その後、台北市はNVIDIAを誘致するため、新光人寿と交渉、2025年10月16日は地鎮祭を行うなどしましたが、22日に地上権解除同意を発表。

台北市は地上権抹消手続きが2025年11月に終了したことを発表しました。

また、台湾のNVIDIAはシンガポールや香港の支社として設置されていましたが、2025年末に、資本金10億台湾元(約50億円)の子会社の設置が認可され、大規模な契約などが出来るようになったそうです。

なお、NVIDIAの台湾オフィスは、台北市内湖区にありましたが、2025年末、南港区に移転しています。

参考

https://japan.focustaiwan.tw/economy/202510290006
https://japan.focustaiwan.tw/economy/202511240004
https://japan.focustaiwan.tw/economy/202511210006
https://japan.focustaiwan.tw/economy/202601180004
https://japan.storm.mg/articles/1052358

1970年代頃のハッカーがどう電話回線をハッキングしていたのか

1960年代から1970年代頃のハッカーと言えば、長距離電話を無料でかけるというハッキング、フリーキングです。

キャプテンクランチが2600Hzの音を出してハッキングしていた。
ブルーボックスをスティーブ・ウォズニアックも開発して、スティーブ・ジョブズが売っていた。

とかいろいろな話を聞きますが、具体的にどうやって長距離電話のハッキングをしていたのか、どうやって無料でかけるという事を判断出来ていたのかがよくわかりません。

電話のハッキング

当時の電話回線はトーン信号(電話をかけるときのピッ、ポォ、パァみたいな音)を使って様々な制御がされていました。
その中で前述した2600Hzの音が、電話を切るときの信号音と同じで、口笛でも再現できました。
これを一般に初めに発見したのはジョー・エングレッシア(Joe Engressia)その後のジョイバブルス(Joybubbles)だと言われています。

その後、電話会社の通信規格などの技術文書などから詳細がわかると、ハッカー達はこれを調べた上で簡単にできる装置ブルーボックスを制作し、販売していきました。
しかし、電話会社は1960年代からこのハッキングの事実を知っていたので、1970年代後半には、電話回線側のシステム変更などが行われていくなどして廃れていきました。

フリーキングが流行していた当時の通話料金

アメリカの固定電話での短距離の電話は比較的安いですが、長距離通話はかなり高価です。
目安としては短距離はほとんどタダに近い料金ですが、2000年頃でも、長距離通話は1分、数十セントなどでした。
この長距離通話というのも16km程度、10マイルほどで長距離になるので、市外通話はすごく高い状態です。

ハッキングがよく行われていた1970年代頃も、短距離は安く、長距離は高かったです。
例えば1970年代にLos Angelesから、New Yorkに電話をかけると3分で2ドル弱でした。これは2020年代の価値で言うと10ドル程度に相当します。2026年の日本円の価値で換算すると3分の通話が1,600円程度です。

ちょっと離れたところに1回電話をしたら何百円もかかかるのがタダになるなら、流行らないわけがありません。

具体的にどうやって無料で電話をしていたか

当時の事を書いたハッキング関連の書籍などを読んでも、具体的にどうやって無料だと認識出来ていたのかがよくわかりません。
通話料金は後から請求が来るはずなのに、いろいろな物を読んでも電話をかけていたときに無料だと認識してハッカー達は喜んでいたようです。

この仕組みはこうなっています。

まず、無料通話(アメリカの場合 1-800 から始まる番号)などにかけます。
その後、2600Hzの音を出して、通話をオフの状態にします。
ここでピョロローみたいな音が聞こえたら、通話がオフ状態になった事が確認できます。
この状態で長距離電話を発信します。
ブルーボックスのプッシュボタンを押すなどして、通話したい相手の番号のトーン信号を出して、交換機システムを騙し、無料通話の状態なのに、長距離通話をかけるというシステムです。

無料通話にかける、2600Hzの音で、通話を終了、この無料の状態で電話回線を乗っ取った状態になるので、ここから長距離電話だろうが、国際電話だろうが自由に無料でかけられたということになります。

これを簡単にできる装置がブルーボックスで、デジタル回路で高性能なブルーボックスを開発したのが、スティーブ・ウォズニアックです。

まとめ

当時の電話のハッキングは、まずは無料通話などにかける。
その後、電話回線を乗っ取る。
その上で、無料でかけたい番号に実際に通話する。

というシステムだったので、初めから長距離電話に何らかの形で通話して、後で請求書をみて、無料になっていることを確認するようなことではないです。

AI独学ロードマップの生存率は5% ― 「わかったつもり」を防ぎ完走するための生存戦略

チャットボットを使うだけのAIユーザー、APIを使ってブラックボックスだがAIエンジニアっぽい事を出来る状態から抜け出すための算数から大学数学をしっかり学び、AI関連論文に書かれているような内容を数学的に理解して、自分でAIサービスの実装を出来るようにするまでのロードマップを3本シリーズでまとめました。

このロードマップの概要は「数学ゼロから始めるAI理解の独学ロードマップ — 1年で理論も実装も攻略」で解説しました。
そのロードマップで失敗しないために何を理解すべきか、どう学習していくかの補足を「AIを「使うだけ」で終わらせないために ― 数学ゼロから始めるAI理解ロードマップの補足解説」で解説しました。
そして、数学学習はAIだけでなく様々なシミュレーション、構造解析などの科学技術計算でも役立つ事を「AI学習のその先へ ― 「科学技術計算」というもう一つの強力な武器」で解説しました。

AI学習を1年間完走出来るのは10%以下

この学習は数ヶ月では無く1年ほどの学習を必須にしています。
社会人が1日2時間ほど学習することを前提にしたロードマップで、継続はかなり厳しい物ですが、やる気がある人なら実現は可能なレベルの物です。

しかし、分数の割り算の意味をしっかり理解するとか、マイナス×マイナスがプラスになる事を理解しましょうというレベルから始まります。

一般の方の多くはそんなルールは知っているからと、ロードマップはすっ飛ばして、いきなり高校数学の復習から入ってしまうと思います。
また、1年間の学習をしっかりやろうとしたとしてもかなりの割合が脱落して、1年間を完走出来るのは1割いればいい方。そして、追加で科学技術計算なども含めた学習を追加でさらに1年出来るのはそのうちの半分以下になる。
つまり、1000人が同じ状態からスタートしても、AIによるシミュレーションでも、2年間を完走できるのは1000人中50人ほどという結果が出ました。

好奇心旺盛な方の多くは高校数学でわかるAI・機械学習みたいな内容を読んで、高校数学を軽く読み流して、大学レベルの数学の中身はあまり理解しないで、AIの挙動をわかった気で終わらせてしまっていると思います。

そうならないために、しっかりと数学を理解して、AI関連の論文の内容を理解出来るようにするのがこの一連の投稿の目的です。

AI学習を完走するための基本的なアドバイス

まず重要になるのが、大学レベルの数学を理解出来る数学の基礎を作る事です。

そのためには高校レベルの数学が必要になりますが、その高校レベルの数学も、基礎が必要になります。
問題は高校数学は数学の概念をあまり理解していなくても、解き方さえわかれば、合格点はとれてしまい、自分は数学がわかった気になってしまうことです。

「理解」と「前進」のバランス ― わからない時は一旦進む

例えば小学校の算数で習う分数の割り算は、逆数をかけているということを知らなくても高校数学は乗り切れます。しかし、それからしばらくして大学で線形代数を学習すると逆行列が出てきます。ここで逆数(逆行列)をかけることで「割り算」と同じ操作を行うという概念がでてきますが、小学校レベルの数学の概念をしっかり理解していないと、このような部分で壁にぶち当たってしまう可能性があります。

逆数自体は、小学校での分数の割り算で出てきますが、この概念は中学校での方程式、高校での関数など様々なところで出てきています。

そのために、小学校や中学校で学習するレベルの内容はただ計算ができるだけではなく、各段階で、なぜこうなるのかの疑問を持つことが重要です。

Gemini作 数学のなぜとそれが大学数学にどうつながるか

とはいえ、それを学習した時点では、そういったこと自体の疑問を感じない場合もありますし、理屈を説明されてもなんだかスッキリしないこともあると思います。
そこを今すぐに完璧にしようとせずに、今の理解はそこまでにとどめて、次に進むことも重要です。先に進んでから戻ってみると、それまでの学習の積み重ねで案外すぐに理解出来てしまうこともあります。

ポイント よくわからなかったらとりあえず次に進む

なぜ今、高校数学なのか? ― 「AIのための」復習法

中学校レベルまでの数学をやり直したら、高校レベルにすすみます。高校レベルではAI関連で必要ない部分もありますが、どのような内容なのかをさらっとすべて見ておくくらいはしておいた方がいいでしょう。

数学Iなら、二次関数グラフ、最大・最小、三角関数、平方完成などを中心に学習します。高校数学を学習している中で、なぜやり直しをしなければいけないのか、このくらいの理解で十分ではという疑問を持った場合、とりあえず大学数学の線形代数などにすすんでみてください。

大学での線形代数、微積分、行列が何の疑問も無くスラスラ学習できるようなら高校数学の復習は必要ありません。多くの方は高校レベルの基礎が欠けているとか、前述した小学校レベルの算数の概念をしっかり理解していないとかの理由で、大学レベルの数学の壁に当たります。

AIなどは関係なく、高校までの数学を公式の丸暗記と計算力だけで乗り切った方も、大学での抽象化された数学のイメージがつかめずに脱落してしまう場合もあるようです。
それまで数学は計算ルールを覚えて、計算が出来ればいいとだけ考えていた場合は、数学はその定義を理解する物だと切り替えて、学習の方向性を修正しましょう。

各段階での「現在地」確認 ― 基礎の穴を見逃さない

高校レベルの学習をおろそかにすると大学レベルの数学で必ず壁にぶちあたります

この学習ロードマップでは中学、高校レベルの復習をしっかり行います。特に高校レベルの復習は3ヶ月ほどかけて復習する前提になっています。
多くの方は学習量を最小限にするために、高校レベルの学習は最小限にしようとします。

その結果、大学レベルの数学がちんぷんかんぷんな状態に陥ります。
やさしくわかるAI・機械学習などの本では詳しく説明しており、何となくわかった感を得られるので、自分はわかっているような気がしますが、実際の理解はかなり浅い状態です。

後述しますが、大学レベルの数学で疑問が出たら、高校レベルなどに戻って基本的な部分の確認が必要になります。
基礎が出来ていない場合、自分はどこを理解していないのか、どこまで戻ればいいのか、そもそもどの基礎に戻るべきなのかの判断が出来ません。

ポイント 中学・高校レベルの数学は一通りしっかりとおさらいしよう

この段階で全体の4割が学習を続けられずに脱落すると推定されます。

「スパイラル学習」のすすめ ― 基礎と応用を行き来する

大学レベルの数学で、ここまで残った4割の中から3割は脱落すると推定されます。つまり残っているのは1割です。その原因は公式の丸暗記などでは対応出来ない、抽象化された大学の数学です。

方向としてはとりあえず何となく理解して、基本的な問題は解けるようになる、その定義は何かを理解しようとするの繰り返ししていけば理解が深まります。
このような学習をスパイラル学習(螺旋型学習)といいます。

例えばAIで損失関数、誤差を最小にするための微分の勾配降下法(Gradient Descent)があります。

勾配を計算して損失関数の谷底へ降りて最適解にいくイメージをもった状態で、とりあえず数式を計算してみます。
この計算を手計算する必要はありません。Pythonを電卓代わりに使って入力する数値を変えるとどうなるかを実際に見ていきます。
数式にマイナスがありますが、このあたりでなぜマイナスかと気づくことも重要です。
何度か計算してイメージが固まってきたら、また定義に戻ってみます。

ここで初めより理解が深まっている状態なのかを確認します。
よくわからない場合は、高校数学に戻ります。二次関数のグラフを書き、微分の接線の傾きを求めてみます。
ここでもPythonを使って、数字を変えながらどうなっていくかを理解します。
特にプラスやマイナスでどうなるかを確認するのが重要です。

このように、大学レベルの数学理解に疑問が出たら、その基礎となる学問で基礎的な計算を実際にやってどうなるかのイメージをつかむことが重要です。

この計算では、なぜその式では谷底に向かっていくのか誤差が最小になるのかが実際に理解できるようになります。
このように徐々に理解が深まります。

ポイント 大学レベルの数学の教科書で悩み続けるのは止めて基礎に戻る

AIの実践まで来たらあとは継続学習

Deep Learningの実践まで来たら脱落者はかなり減ります。

ただし、大学数学をある程度理解している事が前提となります。

関連書籍で出てくる数式の意味がわかり、なぜこの計算が必要なのかを理解して、すすめていけない場合は、必ず数学の学習に戻りましょう。

その上でこのレベルで脱落してしまうのは、実践環境の構築、関連情報を調べた際の、日本語での情報不足になっていきます。英語圏では無料で利用出来るコンテンツも多いですが、日本語の場合は一部に優良な無料コンテンツもありますが、有料の書籍などが必要になることが多いです。

英語での情報検索、有料書籍の購入、有料サービスとはいえ月に数千円レベルのコストをしっかりとかけて学習を継続しましょう。

この後はモチベーションが続く限り学習を継続出来ます。
ここまで来ると、自分に必要なら続けるし、必要なく今学習した内容を実践でより深めていくような形になります。

冒頭のAIのシミュレーションでは1日2時間の学習を2年間学習を継続して、AIと科学技術計算の基礎を学べる人は5%と推定しています。

今後の学習では最新の論文は英語になるので、新しい情報をすぐにキャッチアップしたい場合は、英語の少なくとも読解や、最新情報の収集も重要です。

ポイント モチベーションが続く限り学習を継続、英語学習も重要です

AI学習のその先へ ― 「科学技術計算」というもう一つの強力な武器

AIをただ使うだけではなく、中学レベルから数学を学習し、AI関連の基本的な概念などを理解し、ある程度開発もある程度できる状態にする1年間の学習ロードマップです。
1日2時間程度の学習を前提にした、簡単ではないが現実的にできる範囲の物です。

数学ゼロから始めるAI理解の独学ロードマップ — 1年で理論も実装も攻略

さらに補足として、数学をどう学べばいいか、1年学習した後にさらに半年ほど学習して、自分専用AIアプリケーションを作成の入門レベルまでが可能になる方法を紹介しています。

AIを「使うだけ」で終わらせないために ― 数学ゼロから始めるAI理解ロードマップの補足解説

これらはあくまでもAIに関係する数学の内容を学習する流れです。

同じようなコンピュータを使う計算と言えば、AI以前から科学技術計算などがあります。
AI用に学ぶのではなく、科学技術計算用に学ぶ場合を説明します。

AI用に学習をしない場合、AI学習をした後に、科学技術計算をする場合のロードマップを紹介します。大きく変わるのは、大学レベルの数学学習となり、高校数学を学び、Pythonを電卓として使用できるようにするまでは基本的に同じです。

AI用の数学ではなく科学技術計算用の数学を学習する

AI用の数学では、線形代数、微積分の後に統計・確率を学習します。科学技術計算向けに特化する場合、微積分の後に、微分方程式、数値解析を学習し、物理シミュレーションを実際にどうやっているのかの実践を行います。

ここでは各種シミュレーション、科学技術計算、数値解析、科学演算、科学計算などを総称して「科学技術計算」としています。

ここでもディープラーニングの書籍ではなく「Pythonによる数値計算入門」のような科学技術計算に特化した書籍を活用します。

この後の学習は自分が何をやりたいのかによって変わっていきます。何か明確な目標がある場合は各分野1ヶ月から2ヶ月ほどかけてAIの学習と同様に、自分が行いたい分野の学習をしていきます。

AI関連学習をした後に、科学技術計算用の数学追加学習する

1年間AI関連を学習した後、もしくは1年半PyTorchを使えるようになった後に、科学技術計算向けの学習をします。
もちろんまだ学習が終わったばかりなので、経験も少なくすべてを何でもできる状態ではありませんが、基礎知識はあるので専門書を読んで謎の呪文が並んでいる状態ではありません。

前者なら合計1年半の学習で、AI関連の意味がわかる状態になって、科学技術計算ができるようになる。後者なら、AI関連のアプリを意味がわかって開発できる状態に加えて科学技術計算もできるようになります。

AI関連の学習を1年である程度の目処をつける場合は、PyTorchは使わずSciPyを使えるようにします。AI関連の学習を1年半行う場合、PyTorchに加えてSciPyも使えるようにします。
SciPyでは積分・微分方程式に加え、「最適化(Optimization)」などのモジュールがあり、簡単にややこしい計算の答えが出てきます。 この「最適化」は、AI学習でいう「誤差を最小にする(勾配降下法)」と本質は同じです。科学技術計算でも「実験データに最も合うパラメータを見つける」「最も強度の高い形状を見つける」といった場面で多用するため、AIの知識がそのまま武器になります。

この科学技術計算で重要なのは、その現象をどう数式でモデル化するという点です。
さらに、モデル化した物が妥当かを評価できるようになる必要があり、数値安定性、誤差評価、離散化の妥当性に関しての理解が必要です。SciPyにデータを入れれば求めている答えが出てくるほど簡単ではありません。

簡単ではありませんが、しっかりと学習していけば必ずできるようになります。そのための高校レベルまでの数学の知識などに問題があると思ったら、いつでも戻って学習しなおしましょう。

このあたりをどう学習していくかは本人が最終的に何を優先したいかによって変わっていきます。1年でAI学習を終わらせる場合は、画像認識はやったことがあるが、自然言語処理やPyTorchは使ったことがないような状態です。

自分が最も優先したい物を先に行って、さらに他の分野も興味があればその後に学習するのでも問題ありません。

自社のチャットボットを作るようなAI関連よりも、自社の業務で必要な物理シミュレーションができる事を今すぐやりたい企業も多いです。AIを使った画像処理やチャットボットよりも、物理シミュレーションができる人材の方が価値が高い場合も多いため、今流行っているからと興味本位でAIの学習を優先する必要は無いです。

1年半AI学習をした後のおすすめルートは2つあります。これらのルートはそれぞれ半年ほどの学習になります。(1日2時間学習の場合)

Pythonで物理シミュレーションを学ぶ

流体力学と、構造力学を追加で学びます。製造業などでは必須の科学技術計算となります。

流体力学はAIの畳み込み演算が微分計算と同じような物な事に気づけます。構造力学は、強度計算などで使いますが、連立方程式を解くことになります。

そして、単純にデータをすべて入れて演算すればいいわけでもなく、正しい式に単純にデータを入れたとしても、数値計算では破綻することがあります。例えば、物理シミュレーションで時間の刻み幅を間違えるだけでデタラメな結果になってしまいます。
そのため誤差や安定性の概念を理解して、求めるデータが出力されるようにすることも必須です。

Pythonで信号・制御を学ぶ

信号処理、制御工学を学びます。ロボティクスや自動運転、IoTなどでも活用出来ます。

信号処理ではフーリエ変換を学習し、波形解析、ノイズ除去などで、AIのデータの前処理などでも活用できます。

制御工学では古典制御・現代制御などを学習し、ドローンの姿勢制御、ロボットアームの動きに活用できます。状態方程式を行列で行います。

よくわからないが将来に備えて科学技術計算用に何かを学習したい場合

実はこの将来に備えるという内容は非常に重要です。
科学技術計算で使う様々な知識は数十年変化していません。一方でAI、ディープラーニング、機械学習は1年後にどうなっているかわかりません。基本的な数学部分ではかわりませんが、1年後はともかく5年後にディープラーニングが広く使われているかも不明です。

そんな将来も確実に利用できる科学技術計算では、まずは、微分方程式を学習しましょう。
時間の流れ毎の変化を使って演算するシミュレーションの肝となる部分です。
AI関連では、これを応用したPhysics-Informed Neural Networks (PINNs)(物理法則を組み込んだニューラルネットワーク)などの新しい技術が注目されています。PINNsはデータが足りない場合でも、物理法則(微分方程式)をAIに学習の制約として与えることで、物理的に正しい予測を可能にする技術です。

次にフーリエ解析を学びます。
SciPyを使う場合、波の重ね合わせとしての理解が必要になります。フーリエ変換の意味がわかるようになれば、音声、株価、振動などのあらゆるデータがサイン波の足し算に分解できることがわかります。前述したようにノイズ除去などのAI関連でも役に立ちます。

これらの学習で重要なのは、微分方程式の複雑な解き方を覚えるのではなく、式を見たら、変化の勢いがイメージできる状態にすることです。フーリエ解析も複雑な積分計算を覚えるのではなく、波形が成分にわけられるというようなイメージやグラフの見方が重要になります。

日本語の書籍で何が参考になるかは難しいですが、例えば既に紹介している「Pythonによる数値計算入門」や「やさしく学べる ラプラス変換・フーリエ解析 増補版」などがあります。

AIや科学技術計算の数学を理解し、AIサービス、データ解析ができる状態とは

現在、多くの企業ではDXとして様々な業務改革を行う必要があります。
そのためには既存のデータを分析したり、そもそも必要なデータを集めたりする必要があります。

具体的に何をすればいいかよくわかっていない企業が多いのが現状です。大手企業なら、そのような人材もいますが、中小企業などにはいない状態です。
何かやろうとした場合、ITベンダーに依頼しても、それが求めている形になるかはわかりません。

このようなことができる人材は、2026年現在で多くて数万人程度しかいないと推定されます。日本のITエンジニアと呼ばれる人口は100万人程度なので、全体からしても希少な人材となります。

既に何年かの社会人経験がある場合、その経験と組み合わせた人材は更に貴重になります。

AIも科学技術計算も、現実をどう数式化するかという問題です。
関連する数学を学び、現在使われている様々な問題をどう解決していくかです。合計2年弱の期間学習することで、その問題を適切な数式でコンピュータを使った演算が出来るようになっていることが最終形としての理想です。

AIを「使うだけ」で終わらせないために ― 数学ゼロから始めるAI理解ロードマップの補足解説

AIをしっかり理解して利用するための現実的な独習ロードマップ「数学ゼロから始めるAI理解の独学ロードマップ — 1年で理論も実装も攻略」の補足です。

特に数学の学習方法を間違えて、計算が出来ればいいだけ、難しい計算を手計算で、できるようにすることを目標にしないでください。
このあたりを間違えると、大学レベルの数学でつまずきますし、その後の実践学習で使うAI関連の式の理解にまで影響します。

多くの場合、途中で嫌にやって止めるか、ロードマップを自己流に解釈してわかったつもりで進み、高校レベルの数学で脱落し、ほとんどの方は大学レベルの数学で脱落します。

何を学習すればいいか、学習した後の実践までを補足しています。

AIは「使うだけ」と「理解して使う」で何が違うのか

AI関連はチャットボットなどを使うだけなら何の知識もなく可能です。
それ以上理解して使うには、

APIなどを使って中身はブラックボックスだが一応理解したことにした自称AIエンジニアとする
APIが具体的に何をしているかを関連論文の意味わかる状態まで理解したうえで、本当のAIエンジニアになって他にはないオリジナルのAIサービスを開発できる
などの、使えるレベルには大きな差があります。

車で言えば、乗客として乗るだけが、運転ができるレベル、部品の意味がわかって修理や改造ができるレベルなどでしょうか。

その上のレベルにAlexNetやTransformerなどを生み出す人達がいます。
このレベルに到達するには更なる学習、研究などが必要になります。自動車の組立などをする人が直接必要のない、燃焼力学、空気力学などを学習するような努力が必要になります。

そのための数学学習を1年間行う基本ルートを「数学ゼロから始めるAI理解の独学ロードマップ — 1年で理論も実装も攻略」として説明しています。

ここでのゴールはAI関連を理解するために最低限必要な数学知識をつけることです。
最終的に「ゼロから作るDeep Learning」に出てくる数式の意味がすべてわかる状態にします。このようなAI関連書籍で出てくる数式などを読んで理解したつもりになるのではなく、その計算がなんで必要なのか、その計算の意味を自分で理解できるレベルにするという意味です。

APIを使うだけのAIエンジニアの限界

例えば、生成するデータの創造性を高めるTransformerのTemperatureという数字があります。
この数字をいじれば出力結果が大きく変わることだけを知っているのがAPIを利用しているだけの自称AIエンジニアです。
その数字がなんのための物か、数式のどの部分に影響しているのかを理解して数字を調整できる、必要なら他の項目を調整できるのが本当のAIエンジニアと言えるでしょう。
この本当のAIエンジニアを目指すのが一連の学習ルートになります。

そのために具体的に何を使ってどう学習するのか、ロードマップでは1年でAI関連の数学理解をする基本を解説しました。その中では学習の流れを解説したので、学習するさいに課題となるポイントを解説します。
さらにその後の半年程度の追加学習で、より理解を深め、その先に行くための土俵作りも説明してます。

本当のAIエンジニアに必要な数学的理解とは

学習で重要な事は基礎をしっかり固めることです。
本当のAIエンジニアに必要な数学的基礎の理解とは、テストで良い点を取るために公式を使えることではなく、その数式が何を表しているかを自分の言葉で説明できるレベルの理解です。

初めの1ヶ月は中学数学までの復習をします。その後、3ヶ月ほどかけて高校数学の必要な範囲を学習します。
この基礎的な数学の学習で重要な事は、基礎的な計算ができるようになることではないです。

数学ゼロからAI理解を目指す学習ロードマップの考え方

例えば、計算方法だけを覚えて、計算ドリルを高速に正確に解けるようになる事がゴールではありません。
分数の割り算で分子と分母をひっくり返すことを知っているのですらすら解けるのではなく、なぜひっくり返すのか、逆数をかけていることなどをしっかり理解するということが最も重要です。

多くの方はこのあたりを勘違いして、自分は基礎的な計算ができるからと、数学の基本的な概念を理解せずにその先の分野にすすんでしまいます。大学数学では公式の丸暗記では乗り切れなくなり、大きな壁にぶつかります。

とはいえ、各分野で完全な理解をしないと先絶対すすんではいけない物ではありません。
本当にそれをやった場合、多くの方が前半で脱落してしまいます。よくわからないなら、とりあえず自分が理解した計算ルールだけでも先に進んでみましょう。

その状態で後の項目でまた壁にぶち当たってしまったら、ここまで戻ってきます。
それまでの学習成果から、以前の悩みがすぐに解消される事もあります。

どうしてもわからないことは、わからないという事を覚えておけば十分です。

なぜ中学・高校数学の理解がAIで重要なのか

例えば、計算ドリルなどで高速に計算できること、大学入学試験の問題をできるようになることを、ここでの目標にする事は間違っています。
このような学習自体に損はないですが、基礎的な計算を手計算で満足してできるようになれば十分です。計算はコンピュータにやらせればいいので、複雑な計算を手計算で高速に解ける必要は無いです。
他にも連立一次方程式はなにをやっているのか、因数分解とは何か、ベクトルとは何かのようなことをしっかり理解します。
連立一次方程式は複数の未知数の解を求める手法、因数分解は式を「積」の形にまとめる、ベクトルは向きと大きさを持つ矢印などのことを理解します。

もしも、学習内容が計算は出来るが、なんだか腑に落ちない場合、書籍などを読んでもパッとしない場合、これから自分が理解しようとしているチャットAIに聞いてみましょう。

マイナス×マイナスがプラスになるルールは覚えましたが感覚的に理解出来ません

大学数学(線形代数・微積分・確率)がAIでどう使われるか

その上で将来AI関連の学習を始めると、

連立一次方程式 – 予測誤差をゼロにするための最適な重み計算に使う
因数分解 – 膨大なデータを扱う際の計算を簡略化し「行列分解」として、ユーザーの好みと商品の特徴を抜き出すレコメンド機能に活用
ベクトル – 言葉や画像を数値の並びに変換し、データの類似度を判定

のような事に数学が使われていることが理解できるようになります。

中学生、高校生くらいが、将来なんの役に立つかわからないと思って学習させられている数学が、AIでは様々な分野で使われていることがこれだけでもわかると思います。

分数の割り算自体は、大学数学の線形代数で逆行列という概念が出てきた際に役立ちます。(2011年以前に高校入学していた場合は数学Cで学習します。なお数学Cはすべての高校生が学んでいません)
分数と同じように基礎的なことは他にもあります。例えば、マイナス同士のかけ算でプラスになる理屈のような初期段階で出てくるが、覚えただけで終わっている内容をしっかり理解している事も重要です。

そのために、難しい数式を解く解法の計算が主な受験参考書よりも、数学がわからない人向けにやさしく解説している講義系参考書などを使って、なぜその計算になるのかなどの理解を中心に学習することがおすすめです。

例えば受験向け参考書で学習する場合、チャート式なら白チャート、問題精講なら入門問題精講、他にも基本的な数学をしっかり解説した参考書や読み物などを利用しましょう。

中学レベルまでを1ヶ月、高校レベルを3ヶ月で合計4ヶ月を目安にします。

Pythonを電卓として使う準備

高校までの学習が終わるタイミングで、Pythonの学習をします。
ここでのPythonの学習はプログラミング初心者が、数式を電卓代わりにPythonで計算でできるようにすることが目的です。

NumPyというのを使い、一般的な数式をここで計算できる状態にします。
すでにPythonをある程度利用出来ている方は、数式をNumPyで処理できるようにすることを早めのタイミングで始めるのがいいでしょう。

PC上でPythonを使うには、Python環境のインストールや設定などの構築が一般的に必要ですが、Google Colabを使えば環境構築なしでブラウザ上で簡単に使えます。
NumPyなどに関するオンライン上の学習コンテンツを使うのが便利です。
Matplotlibでグラフを書けるようにすると、簡単にグラフが書けるようになるので、こちらも視覚的に数式を確認できるようになるので便利です。

もしも、この時点でPythonプログラミング自体をある程度理解したい場合でも、あまり深入りする必要は無いです。
基本的には計算ができるようになればいいです。それもすべて覚えるのではなく、初めは何かを見ながらその数式をNumPy用にかけるようになればいいだけです。
プログラミングがさっぱりわからなくて不安な場合は、何となくこうすればプログラミングができるレベルまで軽く学習しましょう。

最終的には「Pythonで動かして学ぶ!あたらしい機械学習の教科書」などを使ってAI関連の内容を学習することになるので、この時点でこのような書籍の基本的な部分で学習してもいいかもしれまません。

この時点で半年ほどかけて、AI関連で使う高校数学はある程度理解し、それらの数式をPythonで記述できるレベルになっている状態にします。

数学などが既にできる人は数ヶ月単位で期間が短くなります。

NumPyでの演算練習と高校レベルまでの数学復習を1ヶ月ほどで終わらせます。ここまでを5ヶ月程度を目安にします。

Pythonを電卓として使えるようにするのは便利です。しかしすべてこのように学習することが正解とは言えません。
例えば、NumPyで連立一次方程式の解法のガウスの消去法を自分でなんとかしようとするとかなり沼にはまってしまうでしょう。
しばらくやってうまく出来ない場合は、何が起きているのか理解した上で、早々にあきらめてより便利な方法に移行することも重要です。

大学レベルの数学を学習する

大学レベルの数学学習は、線形代数、微分積分、確率統計になりますが、AI関係で必要な内容だけでも各分野1ヶ月くらいかかります。

各分野1ヶ月で合計3ヶ月、復習1ヶ月として、最短でも4ヶ月ほど。実質は5ヶ月くらいかかるかもしれません。

大学レベルの学習を一通り終わらせるまで10ヶ月程度、復習を含めて、余裕を持って11ヶ月で終わらせる事を目安にします。

このレベルの学習は日本語の書籍などでも可能ですが、英語がわかれば欧米の大学が無料で提供している各種コンテンツを活用する事も有効です。

学習が終わったら「Pythonで動かして学ぶ!あたらしい機械学習の教科書」を使って、機械学習関連の計算ができるかを確認しましょう。

そして、「ゼロから作るDeep Learning」を実際に読み進めていきます。

ここで、今までの学習とAI関連がつながっているかを確認します。もしもさっぱりわからない場合は、勇気を持って基本的な部分から数学を理解しているかを復習しましょう。
しっかり学習出来ていれば、それぞれの内容と今までの数学の学習の内容がつながっていきます。

この一連の数学の学習を終わらせた後の実践練習の目安が約1ヶ月です。
小学生レベルの復習から初めて、ここまでで1年を目安にします。

1年でAI数学を理解する学習ステップ

ここまで1年間の学習でやっとAI関連数学の学習の基礎が出来た段階になりました。

しっかり学習が出来ていれば、関連書式が記号ばかりで意味不明だった物が、それぞれ意味がわかる状態になっています。
しかし、本格的に使えるするための学習はまだ続きます。

ゼロから作るDeep Learningの続編「ゼロから作るDeep Learning ❷ ―自然言語処理編」などで学習を続けます。

この追加学習を2ヶ月として、学習を始めて1年2ヶ月後には、ChatGPTやGeminiなどのチャットボットが何をやっているのかが理解できるようになります。

数学を理解した先にできるようになること

このあたりまで来たら、数学自体の学習はおおむね出来ているはずなので、電卓扱いのNumPyではなく、より実践的でよく使われているPyTorchを使えるようしていきます。

PyTorchを使った機械学習について学び、自分でファインチューニングして、自分専用AIアプリを作れるようになることを目標とします。
初めからPyTorchを使った方が便利ですが、便利すぎて学習になりません。初期段階は電卓扱いのNumPyで学習しましょう。

AI関連でPyTorchを使う学習には「最短コースでわかる PyTorch &深層学習プログラミング」などが役立ちます。

ここまでの学習で数学と、その数学を使ってAI関連コードの理解がかなり深まった状態です。

この状態になれば、Hugging Faceにある様々なAIコードを確認できるようになります。
既存のコードの意味がわかる、実際にPythonやPyTorchを使ってコードを書けるようになった段階で、ようやくAI関連の実践入れます。

Transformerを使うための知識はあるので、これを使って自分のデータでファインチューニングしてオリジナルAIサービスを作れるようになります。

とはいえ、いきなり何か作れと言われても難しいので「機械学習エンジニアのためのTransformers ―最先端の自然言語処理ライブラリによるモデル開発」で、Hugging Faceを使った開発を学習します。
そして「大規模言語モデル入門」でチャットボットをどうやって作って行くのかを学習します。

ここまでで1日2時間程度の学習で1年半程度の期間を目安にします。

半年程度で数学の基本及び数式をコンピュータを使って計算させる方法を学びます。
その後の半年程度で、AI関連の数学の内容を理解できるようにし、機械学習関連でどう使われているかまで学習します。
この1年ほど学習した段階で、AIの裏側で何の計算が行われているかがわかるようになります。

さらに半年程学んで、実際にAI関連アプリを作れるようになるまでの実践練習の期間です。
ここまできたら、何も知らずにAPIを使っているだけの自称AIエンジニアとの差がかなりついている状態になります。しかし、Transformerなどを生み出した本物のAIエンジニア・研究者との差はまだまだあります。

つまり、1年程度でAIで使われる数学関連の知識を身につけます。この時点で学習を一段落させてもいいですが、その後、半年かけてAI関連の開発の実践演習に入り、より理解を深めるか、さらにその先へと行くかという流れです。

この、1年半というのはかなりの期間だと思いますが、分数の割り算の意味がよくわかっていなかった人がこの短期間でAIアプリを開発できるようになるなら、すごい事ではと思います。

この内容は主に数学から離れていて、プログラミングの知識もない方向けにも、無理なく続けられる社会人向けの内容です。
仮に高校3年生くらいがこの内容を元に学習し、大学に入ってより深くAI関連の研究をしていけば、数年後には次のTransformerを生み出すようなトップクラスのAI技術者になっている可能性もあります。