自転車屋の引きつった笑い

5年ほど愛用している普通の自転車がある。タイヤが2年ほど前から明らかに劣化していたが、最近になって空気は抜ける。タイヤのゴムの割れ目からチューブがはみ出るという異常な状況になってきたので、自転車屋に行ってタイヤとチューブを全取り替えすることにした。

休日の午後1時半頃行き、その旨を伝えるとすぐできるという。
1時間くらいもあればということだったが、何を勘違いしたのか、「4時頃また来ます」などと言ってしまったがために、かなり長時間暇つぶしをする羽目になった。

仕方ないので、その辺を散歩し、4時頃戻ってみると、修理したはずの自転車が見あたらない。
そこそこ大きい店なので、どこかに駐輪しているのが目に入らないだけなのだろうと思い、店員に聞いてみた。

「タイヤの交換を頼んだのですが」
「はぁ」
滑舌よくしゃべったはずで、相手もよく聞こえているはずなのに思った反応が得られない場合は同じことをもう一度言うことにしているので
「タイヤの交換を頼んだのですが」
口元が引きつったうすら笑い顔で
「はぁ」

意味が通じないみたいなので
「さっきタイヤの交換を頼んだのですが、もう出来てますか?」
というと、
別の店員を呼び、その店員が奥に駐輪してある私の自転車を持ってきた。

自転車屋に行きタイヤの交換を頼んだと言われれば、修理依頼をした自転車を取りに来たのだと思うのだが、その店員にとっては意味のわからないことを言う客だという感じなのだろうか。
それとも、店員に理路整然と状況を説明した上で説明する必要が客にはあるのだろうか。

その前に、店員の引きつった笑い顔はなんなんだろうか。単にその人の癖なのかもしれないが、愛想笑いにしてはひどく不気味なもので、あの手の笑い顔は見たことがない。

1を聞いて10わかるような店員がいいが、そもそもそんな人間はほとんどいない。
今までそれに近いのには東京大学の教授だとか、優秀な教育者などでは実際に見かけたことがあるが、その辺の店員レベルでは望むまでもない。