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ポリ袋の一部から何がわかるか

報道記事によれば、殺人事件の証拠物にポリ袋があったとのことで、ここから犯人を探すヒントを得ようとしているようである。

島根県立大生遺体にポリ袋付着、電話帳用か

 島根県立大1年の平岡都さん(19)(島根県浜田市)の遺体が遺棄された事件で、胴体にはポリ袋の一部が付着し、マークのような印刷があることがわかった。

 これまでに見つかった平岡さんの血痕のついたポリ袋片と同じ材質といい、島根、広島両県警の合同捜査本部は、NTTの電話帳を家庭などに配る際に使われる袋の可能性があるとみて調べている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091223-OYT1T00088.htm より

一般的に、このポリ袋はビニール袋と呼ばれている物だが、材質はポリエチレンである。
ポリエチレンにもいくつか種類があるが、ここで使われているのは高密度ポリエチレン(HDPE High Density PolyEthylene)だろう。

ポリエチレンに限らず、プラスチックは同じ種類であっても、用途別に様々な種類が用意され、各樹脂(プラスチック)メーカーは、グレードという名称で用途別に加工メーカーに販売している。ポリエチレンを製造しているメーカーは世界中に10社以上あり、このような袋に使うグレードも100以上あるかもしれない。

日本でこのような袋に使われている物は、日本の樹脂を日本で加工した物。海外の樹脂を海外で製造し日本に運ばれた物。海外の樹脂を日本で加工したものなどに分けられる。

樹脂その物は専門機関でなくても、簡単な測定器や燃やしたときのにおいなどで簡単に見分けが可能だが、グレードを見分けるのは専門の測定装置が必要になるし、それぞれのサンプルが必要だ。
これらの装置で判断するために必要な量は1g以下であり、かけらでもあればある程度判断することが出来る。

また、それぞれのグレードでも製造時の条件などによって若干違いがあり、ロットと言うことで区別する番号がついているが、それを調べるにはさらに高度な測定装置が必要になる場合もある。

その物が熱などによって劣化していなければ、かなりの確率で、いつどこの会社が製造し、どこに出荷した樹脂で作られた物なのかを特定することが出来る。

すでに最終用途の製品が判明しているようなので、そこからさかのぼって、それがいつ製造された物なのかなどの特定が進んでいるのだろう。
加工メーカーでは加工日とそれに使用した樹脂とグレード、ロット番号くらいしか記録してないだろうが、その特定には樹脂メーカーの協力が必須となる。