紙の配布資料をすべてデジタル化して配布するにはどうすべきか

紙の資料に限らず、本人がもらったものは、最終的に本人が不要と思った時点で処分される。帰る途中のゴミ箱に捨てたと書いただけで「書き手の品位を疑う」とか言われてしまうようなこともあるが、国宝レベルでない限り、どんな物理的なものでも最終的にはなんらかの形で処分される。

コンピュータやネットがこれだけ普及した今でも、紙の資料は多い。紙の資料は一時的に役に立っても、すぐにゴミになる。コンピュータやネットが今ほど使われていなかった時代ならともかく、今はわざわざ紙に出す必要のあるものは限りなく少ない。
確かに、PCの画面でPDFファイルなんかをみても、紙を前提に縦位置でデザインされたものは読みにくいし、アジア系の複雑な文字を読むには解像度もOSの文字表示機能も低い。Mac OS Xはかなりまともだが。

紙に印刷したアナログ資料より、デジタル化した資料なら、検索が可能になる。物理的なサイズや重さを気にしないでもよいという利点もある。もちろん、紙の利点もあるが、編集などされ、製本した書籍はともかく、ユーザーレベルで作成したような資料は、印刷するよりデジタル化した利点の方が大きいと思われる。

コンピュータやネット系のイベント、記者会見などでも大量の資料が配られるが、そのあたりのイベントこそデジタル化を試行してみてはどうかと思う。

たとえば、製品カタログだが、これはネットでも公開しているものであり、製本されたものなどは不要ではなかろうか。もしも配るのなら希望者のみにしたらいいと思う。全員に配っても確実に捨てる人の方が多いだろうから。

プレゼン資料のハンズアウトも、話を聞きながらメモを書き留めたい人向けなどには重宝しているようだが、メモしたいなら紙切れに書けばいいだけで、ハンズアウトに書かなければならない理由はないだろう。これも希望者のみとかにした方がいいのではなかろうか。

紙で配った方が親切なのは、イベントならイベント自体の基本的な情報、当日のスケジュールや講演者の名前や、運営者情報など、参加者が常に確認しておきたいことくらいなもの。A4で1枚くらいにそのあたりをまとめたものをこれまた希望者に配ればいいのではなかろうか。

データとしてCD-ROMに入れたものを渡す場合もあるが、これはこれでプラスチック資源を消費したり、焼いたりするのに時間や手間がかかるという問題がある。主催者が手軽にコストを安くできるのは紙だろうが、デジタル化はCD-ROMに焼いて終わりということではないだろう。

たとえば、その場でメモリカードなどにコピーしたり、ネットに接続できる環境を作りダウンロードさせるとかすればいいのではないかとか思う、希望者には紙の資料も配るが、その場合有料にするってのも悪くない。ただし、有料の場合、仕事でそのイベントに来る人には領収書などの問題があり面倒だ。
もちろん後日、どこかのサイトでダウンロードさせるような環境の整備も必要だろう。

どんな方法にせよ、何らかの手段を使い、紙資料の配布をやめれば、不満が出るのは間違いない。

やろうと思えばすぐにできるが、業界を引っ張るようなところが率先してやり出さない限り、配付資料をデジタル化するようなことは 不可能だろう。

ところで、どうしても紙のカタログをほしがる人もいるようで、先日フラットパネルディスプレイのイベントでAmazon Kindleが展示してあるのをみて、紙の資料を説明員に請求している人もいたが、なかなかおもしろい光景だった。
そんな人はKindleをどう使おうとするのだろう。