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食品に混入していたという可塑剤、ほとんどの加工食品にはごく少量含まれているだろう

2011年5月頃から東南アジアで、可塑剤の一種、フタル酸ジブチル(DBP)や、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)などが食品に混入していたことが報道されていたが、日本でもインスタントラーメンの調味料から検出されたとして報道されるようになったようだ。

今回は、乳化剤にDBPなどが混入したということだが、すべての食品にはこのような「可塑剤」が混入する可能性がある。
可塑剤とは、塩化ビニルなどを柔らかくするのに使用する添加剤の一種であり、発がん性があると言われている。
プラスチックには可塑剤以外にも様々な添加剤が使われているが、特に食品に使われるプラスチックでは、これらの添加剤は安全性があると認定されている物しか使われていない。

今回問題になっている可塑剤は、塩化ビニルなどの本来堅いプラスチックに使用する物で、それ以外のプラスチック、ポリエチレンなどでは使われていない。現在一般的に使われている食品容器としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などがあるが、これらに可塑剤は使われない。

数十年前までは塩化ビニル製の食品容器は存在していたが、この発がん性が問題になってから使われなくなった。対応がかなり遅かったと言えるが、2000年頃に食品製造に使う手袋でも塩化ビニル製の手袋が使われなくなった。
これによって一般的には可塑剤が使われるプラスチックは容器、製造工程から消えたように思えるかもしれないが、実際は多くの食品工場で可塑剤が使われているプラスチックを使用している。

それが工場などで使われている配管だ。
一般的に配管は金属かプラスチックで、プラスチックは動作する機械の可動部分などに使われており、ここで一般的によく使われている配管(ホース)が塩化ビニル製となっている。もちろん他の物質を使用している場合もあるが太めのプラスチック配管のほとんどが塩化ビニル製だ。
塩化ビニルの配管は当然ながら可塑剤のフタル酸エステルなどが使われている。
配管に使われているだけなら問題ないと思う方も多いようだが、配管に物質が通るということは、その物質が配管の表面を削っている。その削られた物質は可塑剤などが入った塩化ビニルであり、これがごく少量食品に含まれていることが予想される。

もちろん、この量は微量なので、一般の測定では出てこないレベルかもしれないが、食品製造の過程で可塑剤に触れている部分があるという点に注目した方がいいだろう。
ついでに言えば、食品以外でも様々な工場の製造工程で塩化ビニル製の配管は使われている。塩化ビニル以外の食品容器の製造工程、その原料の製造工程などでも一般に使われている。逆に、一切塩化ビニルを使用していない工場というのがあれば非常に珍しいと言えるだろう。
つまり、可塑剤はどこで製造されたどんな加工食品でも含まれている可能性があると言うことだ。