Duolingoがどのくらい役立つサービスか考える

Duolingoは語学学習サービスでしたが、数学や音楽も追加されて総合的な学習サービスを目指しているようです。ここでは語学学習サービス特に日本語話者が英語を学習するツールとしてのDuolingoを考えます。

日本語話者の場合、日本語で学べるのは英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語ですが、例えば英語で学ぶならさらに多くの言語が学べ、学べる内容もそれぞれ異なります。
例えば、どの言語で学ぶ場合も中国語は基本的に北京語の学習になりますが、広東語は北京語からしか学べないなど、何語で何を学ぶかによって学べる内容は異なります。
(2025年2月現在)

このDuolingoで英語を学ぶ場合に、どのくらいの時間がかかるのかを計算してみます。
また、実際にどのくらい出来るようになるのかを考えてみます。

Duolingoで学べるレベル

Duolingoは言語を中心に基本無料で学習できるサービスです。

学習出来るレベルは、どの言語を何語で学ぶかによってかわります。
日本語話者が英語を学ぶ場合、非ネイティブとして十分なレベルと言える、CEFRのB2レベルまでを学べるサービスです。
言語によってはA1レベルまでの物もあります。
CEFRとはヨーロッパ言語共通参照枠のことで、単純に何となく意味がわかる状態ではなく、4技能と言われる、読む、書く、聞く、話すの総合的な能力になります。

DuolingoではCEFRのレベルを「猫が遊ばない」状況の文章レベルを例に出して、このような例を出しています。

猫が遊んでいない状況のCEFRレベル別表現例

A1 猫が遊んでいない。
A2 おもちゃをもっと動かしてみよう。
B1 僕にやらせて。ひもをもっと揺すれば遊んでくれるんじゃないかな。
B2 お店で、もうひとつの猫じゃらしを買うべきだったね。もっと動きがあったから、もっと気に入ってくれただろうに。
C1 猫がおもちゃで遊ばないと決断するに至ったいくつかの要因について考察してみよう。
C2 当該ネコ科動物の玩具に対し、少々の運動エネルギー量を増加させれば、同動物は無気力な天性から脱して遊び心を発揮するかもしれない。

https://blog.duolingo.com/ja/cefr-language-levels

C2レベルだとほとんどの母国語話者であっても、読めばわかるが、書くならじっくり考えないと出来ない、もしくはできる人は限られる内容。いきなりスピーキングすることはほとんどの母国語話者でも困難なレベルになります。
一般的な母国語話者の言語レベル(書く、話すレベルの場合)はC1に行っていればいい方ではと思います。
外国語で一般的に問題ないレベルなら、B2レベルでしょう。B1でも十分と思いますが、Duolingoは多くの言語で、そのB2レベルまでの学習が出来ます。

Duolingoで学ぶ言語等によってはA1、A2レベルまでの場合もあるようです。
A1レベルでも基本的な挨拶等が出来るだけでもだいぶ良い状態ですし、A2レベルでも本当の意味でそのレベルをしっかり身につけていれば、その言語での基本的な意思疎通は出来るのではと思います。

Duolingoでは具体的に何をやるのか

Duolingoは、一般的な言語学習でよくある文法の学習は基本的にやりません。その言語の型を徹底反復し、身につける事を中心としたサービスになっています。

必要に応じて、英語で未来の事を表現するならwillを使いますよ、みたいな事は一瞬出てきますが、英文法の学習っぽいのは出てきません。
英語なら、三単現のs、He なら続くのは like ではなく likes。I ならbe動詞は is ではなく am みたいなことも、文法の座学としては学習しません。
このようなことを文法知識抜きに徹底反復学習します。結果としてその英語の文法、型を理屈ではなく、定着させて身につける学習サービスと言ってもいいかもしれません。

例えば He _?_ soccer. という文章で _?_ に入れる単語を play か plays のどちらかを選ぶような問題があります。
play を選んだ場合は間違いとだけでるだけで、playsが正解の理由は説明されません。
このような問題を何度も解くことで、文法上の理由など理屈としてはわからないが He なら play ではなく plays が正しいといことを徹底反復して身につけます。

なお、間違いの理由はDuolingo Maxという有料サービスにすると、生成AIによる解説が表示されます。

Duolingo Maxにしなくても、2025年現在、Google GeminiやChatGPTなどを無料で使う範囲で「He play soccer. が英文法的に間違いの理由を教えてください」などと入力すれば必要十分な回答が出てきます。
Duolingo自体を無料で使い、文法解説も無料で済ますことも可能ではあります。

言語の学習は、知識として一度学習して終わりではなく、継続して練習し、しっかりと身につけることが重要です。Duolingoでは、そのための習慣化をゲーミフィケーションとして提供するサービスです。

Duolingoで完璧を目指すのは無駄

Duolingoは使われる単語数が限られ、基本的には簡単な内容の反復になるので内容は難しくないです。
無料ユーザーの場合は、間違うとライフが減るので、完璧を目指そうとする方もいるでしょうが、完璧に回答するのはDuolingoのシステム的に無理です。
Duolingo自体が完璧ではないからです。

例えば英語の文章の意味を、日本語のパーツを並べ替える問題は、英語の知識というよりも一種のパズルのようなっていたりします。他にも、てにをはが気になる内容がでてきたり、これでも問題ないだろというような内容で、解答が間違いになったりすることが発生します。
日本語から英語にする物でも、どちらでも意味が通じる内容で間違いになる事もあります。

また、今、何と言いましたかみたいな問題が出ますが、問題を出す位置を間違えているようなこともあります。
次の内容を聞かないとわからない内容が出てきて、英語の知識ではなく、勘で答えるしかないパターンもあります。

実際にどこまで出来るようになるのか

Duolingoで注目なのは、単に文章を何となく頑張れば理解できるようになる文法学習中心ではないということです。基本的な英語構文などを、徹底反復することで、文法事項抜きにその英語の型をしっかりと身につける事が出来るサービスだという事です。

例えば、初心者や中級者レベルの英会話では、英語を話すのに、いったん日本語で表現したいことを考え、日本語から英語訳し、その内容を口から出していると思います。
多くの場合は、日本語から英語に訳すことが出来ず、英語での表現方法がわからない状態になります。
出来ても、それっぽい英文は一瞬で作れるかも知れません。作れたとしても、冠詞、複数形のような英文法の基本すら、会話中に文法的に正確な英文で作れるか、さらに正しく発音できるかは多少学習したくらいでは怪しいです。
一般的には、ある程度学習すれば、じっくり考えればできる状態にはなるので、時間をかけられる英作文の問題で、正確に書く事は可能かも知れません。
会話の時に、一瞬で正確に話せるレベルの英作文をするのは難しいのではと思います。

Duolingoではそれを出来るようにするための反復学習が中心のサービスです。学習と言うよりも練習や訓練と言った方がいいかもしれません。
これはいわゆる瞬間英作文に似た練習です。

Duolingoでは、話された内容で正しい物を選ぶ、一部が抜けている文章から単語を選ぶなどから学習が始まります。
その後、抜けている単語を選ぶから、自分でその単語を入力する、バラバラの単語を正しく並べ替える、すべてを単語を自分で入力して文章を作るなど、徐々に難しくなっていきます。
最終的に出てきた表現は、自分ですべての文章を正しいスペルで入力出来る状態にします。

この学習内容は、徐々に難しくなっていきますが、一度学習したら終わりではないです。
以前学習した内容は、先に進んでも突然出てきて、覚えているかを確認しています。一度学習した内容は自分で復習しなくても、自然に徹底反復出来るようになっています。

このように徹底反復することで、文法を知識として学習するのではなく、その言語の基礎を徹底的に繰り返し学習し、自然に身につける、定着させるような状態にすることです。

例えば初級A1というレベルで次のような文章を学習します。
これを一瞬で正しい英語に出来るか確認してみてください。

クレジットカードで払えますか。
あのピエロはなぜアメフト(football)の試合にいるのですか。

このレベルの英文を余裕で正しく英作文出来ない場合は、飛び級などせずに最も初期段階からDuolingoで学習をすることをおすすめします。
今の英文の例は次のようになります。

Can I pay with a credit card?
Why is that clown at the football game?

英文を読めば簡単だと思う方が多いと思います。しかし、この英文を一瞬作れるレベルの方は多くはないのではと思います。

このレベルは初級A1というDuolingo内では、セクション2で学習する内容です。
セクション2は、本当に初期段階の学習です。これをやるだけでも、この程度の英文はある程度作れるようになります。

ここではaやtheなどの冠詞が出てきますが、初級レベルでは3単元のs、複数形などのような英語の基礎をしっかりと反復学習します。
そのような文法事項の反復学習に加えて、単語の学習もしていきます。

これは本当に初期段階で、さらに学習レベルが上がると、より複雑な文章の学習に入っていきますが、単語自体も全く知らないレベルから徐々に学習し、単語も徐々に増やして行きます。

本当に何も知らない文法や単語なども見たことも聞いた事もない言語を、本当に初めての状態から身につけられるのが、このサービスの特徴となります。

A1レベルのセクションで学ぶ単語数は1300語前後のようです。つまり日本の中学生レベルの単語よりは少ないです。
例えば前述の例だとピエロという単語が出てきたりするので、すべて完璧な人は多くはないかと思います。

Duolingoでの学習に向いている人

例えば現役の学校以外では勉強しない中学生くらいが、このサービスを3年間1日30分くらいやるだけで、英語の成績は格段に上がると思います。
また、英語がさっぱりな大人が、文法や単語の学習を別途しなくても、同じく毎日30分やるだけで、1年後には英語の基礎がかなり身につくのではと思います。

向いていないのは、例えば、基礎はそれなりにできるような人が、手っ取り早くTOEICで高得点を出したい、英検2級、準1級を取りたいような場合の学習です。
これらの学習では高度な単語や文法知識が必要になりますが、Duolingoでは学問的な文法学習はほぼやらないので、これだけで完結させるのは厳しいです。
とは言え、基礎を徹底的にやるので、このレベルの人の場合は、基礎力向上には役立ちます。
自分は英語能力がかなりあり、こんな基礎を徹底反復するのはプライドが許さないような方もいるようですが、そういった方は、自分が望む高度な英文法を別途学んでください。

また、スピーキングですが、Duolingo内でもある程度出来ますし、有料サービスのDuolingo Maxを使えば出来ますが、スピーキング学習はそれに特化したサービスを別途利用した方が効率が良いでしょう。
スピーキングの基礎となる、英語の文章の組み立て方、瞬間英作文的な使い方は可能です。

文法も同じで、Duolingoで英語の型を徹底反復しながら、文法学習を別途やったり、単語の暗記も別途行った方が全体的な理解度は上がると思います。

Duolingoでの英語学習にかかる時間は

Duolingoは各レベル毎にセクションが分かれています。
そのセクション内にユニットがあり、それぞれのユニットでテーマ毎に学習していく形です。

そのユニット内にパターン違いのレッスンが複数あり、1つのレッスンはおおむね3分前後で完了します。
ユニット内のレッスンは25程度あります。1つのユニットを連続して行った場合で1時間強ほど、おおむね1時間半程度かかります。

ユニットが8あるセクション1の場合なら、1ユニットに1時間かからないと思うので、8時間程度でしょうか。
セクション2以降はユニットが25前後あるので、単純計算でセクション1の3倍の時間がかかります。この個別ユニットを終わらす時間の目安が1時間半程度です。

DuolingoスコアCEFRDuolingoセクションセクション内のユニット数セクション
学習時間目安
(時間)
参考レベル
0-9超初級A1セクション188
10-19初級A1セクション22538
20-29上級A1セクション32538高校受験
30-59A2セクション46090
60-79初級B1セクション55176
80-99上級B1セクション65278大学受験
100-114初級B2セクション73654
115-129上級B2セクション83654英検準1級
130-160C1、C2
Duolingoの英語セクション、ユニット数

CEFR A1レベルのセクション1から3は合計58ユニットあるため、学習時間は80時間前後です。
1日2時間学習しても、1ヶ月半前後はかかります。

セクション8までを同じペースで学習した場合、合計で440時間程度はかかります。
Duolingoで1日1時間学習でCEFR B2レベルがそこそこ出来るようになるのにかかるのは、1年数ヶ月かかる計算です。
1日2時間なら、半年強です。

注意したいのが、1つユニット、1つのセクションを終わらせたら、そのレベルが完璧になるわけでは無いということです。
学校の授業で各学年の授業を受けたら完璧になるわけでは無いのと同じです。

Duolingoの各セクションを終わらせるという意味

完璧はともかく、ある程度、身についた状態にはなりますが、もう二度と学習しないでもいいレベルになったとは言えません。
単純にこのレベルの英語の練習した英語の型を、徹底反復練習を一定時間やって、その時はある程度頭に残ったというだけです。
そのレベルの内容がどれだけ身についたかは本人がどれだけDuolingo内で学習したか、それ以外でも学習したかなどによって変わってきます。

さらにその内容を実践で使えるか、1年後も忘れないかは、その後の努力によります。

前述したように、学問としての文法や単語はこれだけでは全く足りないです。
例えばセクション8は英文法的に準1級レベルになりますが、これだけで英語を学習していた場合、英検準1級には合格出来ないでしょう。
このレベルの英語の型を徹底反復学習したというだけなので、このレベルのテストが完全に合格レベルになっているか、学習した表現をすべてスラスラ言えるかはまた別の話になります。

とはいえ、ある程度は出来るようになっているので、セクション8まで終わったなら、その数セクション前は、更に反復練習の回数が多いので、だいぶできるようになっていると思います
セクション8を終わらせられたら、セクション6はそれ以上に出来るようになっているし、セクション4はかなり出来るようになっているでしょう。

英語の練習は一長一短には行かないですが、ある程度使えるようになるのは確実なので、ある程度出来るようになったら、さらにレベルを上げるために学習を続ける必要はあります。

結論

Duolingoではある程度出来るようになるが、完璧にペラペラになるのは難しい。

補足 Duolingoは有料プランに入った方がいいか

1日1時間などガッツリ学習したい場合は、なるべく早い段階でDuolingo Superに入りましょう。
広告の時間が無駄に思わない場合は入らないでも良いですが、この無駄な時間を更に学習に使えると考えれば、有料プランはタダみたいな物です。

ただし、広告表示されている間に、間違えた内容を調べる復習時間にする、学習した内容を別途学習する時間にするという事も出来なくも無いです。
うまく活用しましょう。

補足 飛び級制度は使った方がいいか

自分で学習したいレベルに合わせて、セクション丸ごと飛び級、セクション内のユニット毎に飛び級が可能です。

ご自身の英語のレベルによりますが、一番初めのセクションから飛び級せずに学習しましょう。
あまりにも簡単すぎる場合でも、三単現のsを会話中に自在に正確に使いこなせるようなレベルの方なら、飛び級も問題ないかも知れませんが、そんな人は一部の方だけで、英語の学習が必用な段階の方ではないのではと思います。

どうしても飛び級をするなら、各セクションで、前半の星マークのレッスンが完璧かなのかを確認してからにしても悪くないと思います。
飛び級時にちょっとでも難しいなと思うなら、飛び級を止めて、その前の段階の学習をしっかりやりましょう。

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