音楽や映像はそこそこデジタル化が進んでいたが、圧倒的に遅れていたのが本や雑誌、新聞などの文字関連。
新聞のニュース的な短い記事ならネット上での配信も普通に出来ているし、ちょっとした雑誌記事風の物ならネットで読めるが、長文の文章になると、デバイスは配信そのものの問題もあってほとんど使われていなかった。
そんな市場に電子ブックリーダーで参入しようとした会社は数多くあれど、まともに成功したのはAmazonのKindleが最初。
Kindleのそこそこの成功には、電子ペーパーがデバイスとしてそこそこ完成したものになり、デバイス自体が完成系に近づいたこと。また、コンテンツ流通体制構築という点も大きい。
実際にKindleを使えば、小説など初めから最後まで順番に読んでいく物には十分使えるデバイスであることがわかる。
一部に課題もあり、漫画も読むこと自体は問題ないが、日本の漫画に関しては紙の見開きを前提とした書き方や、アメリカのカラーを前提とした漫画にも完璧に対応できているわけではない。
紙の書籍では簡単にできる書き込みなどが面倒というのもある。
Sony Readerなら出来ないこともないが、デバイス自体の性能に依存しており、互換性などの点で気になる部分は多い。
ページめくりなどが遅いので、電子マニュアル的な物を作るにはオーサーリングをしっかりと行う必要もある。
だが、数百年続いた紙に文字を印刷し、製本した物を物理的に本を売るという商売が変わろうとしているのは確かだろう。
カラーという問題は基本的に文字を読むだけなので、白黒で十分なわけだが、これが一般市場にも受け入れられるようになるには、雑誌の写真やカラーの漫画にも対応できる必要はあるとは思う。また、書き込みや読んだ後のアクションも簡単な端末、書き込み後の活用をどうするかとう点も考える必要があるだろう。
電子ペーパー自体のカラー化やタッチパネル対応、現在よりも圧倒的に高速な書き換えも数年後には実現するが、それでも表示デバイスは何がいいかは議論が分かれるところだろう。
表示性能だけで見るといまのところ、液晶や有機ELは素晴らしい。しかし、文字を読むという点に特化して、文字の読みやすさ、消費電力では電子ペーパーの方が圧倒的に優れている。
今後10年以上先とかを見据えた場合、これからもKindleのような文字を読むことだけに特化した電子ブックリーダーが残るかどうかは疑問に残るところ。
最終的には、文字だけではなく、動画やフルカラーの画像なども表示できるデジタルコンテンツビューワーという物に進化していくのではないかと思われる。
その場合、将来進化したノートパソコンやタブレットPC、スマートフォン、MIDなどとどう差別化するのか、文字を読むことだけに特化したデバイスは生き残れるのかよくわからない。
AmazonのKindleというデバイスが今後も売れるかわからないが、他社も続々と参入しようとしている。これには、電子書籍の主導権を握りたいということがあるのだろう。
ネットショッピング市場で先行投資に成功したAmazonは圧倒的なトップのようで、その経験も生かしたのか、Amazonはデバイスごと開発し販売。B&Nもそれに続いた。
ソニーは以前からいろいろやっているし、アップルは映像なども絡めた対応機器を出してくるだろう。
この業界がどうなるのかまだまだ始まったばかり。全世界的に今後どうなるかわまったくわからない。
現状では、ソニーは海外で参入している物の、少なくとも言えるのは日本はこの市場に完全に乗り遅れたという事。
これをどうにかしようとも考えていないらしく、とにかく現在の利権を守ることで精一杯のようだ。