ペットボトルは、原料のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を加工して作る。
簡単に流れを書けば、樹脂のペレットを試験管状のプリフォームという物に加工。その後そのプリフォームをふくらましてボトルの形状にする。
非常に簡単に書けばこうなるが、他のプラスチック製品を作るよりもいくつか難しい行程がある。特に難しいのがプリフォームの加工だが、これは射出成型という成型方法で作るが、プラモデルや洗面器などと同じ成型方法だが、プリフォーム専用の様々なノウハウがあり、最も難しい部分。
日本のペットボトルに良くある口の部分が白いのは、プリフォームの口の部分に熱をかけて結晶化させるが、ここも比較的難しい部分だ。
それに比べると、プリフォームを膨らまして、ボトルの形状にするのは加工機の性能が高いと言うこともあり、難易度が低い。ちょっとした技術者なら数日訓練を受ければ、誰でも出来てしまうような物というと簡単すぎるが、単なる作業員として機械を動かすだけならそれで十分。
ということで、最近は飲料メーカーが自分でボトルを膨らましているケースが良くある。
プリフォームまで作るところは、大手以外ではまだ少ないが、プリフォームを買い、自社で膨らまして作るというのは良くやれれている。
ガラス瓶やアルミ缶などは、容器業者しか作れなかったが、ペットボトルは容器業者でなくても作れるというプラスチックの利便性を十分に生かした製品。
前置きが長くなったが、ペットボトルのどこをみるとどこのメーカーが作ったのか認識できるので紹介しよう。
上はサントリーの伊右衛門、下は適当な飲料の物。
サントリーは大手なので、自社でボトルを膨らましており、ボトルにSUNTORYと書かれている。下のは、容器メーカー大手の吉野工業所のもの、Yのマークが吉野工業所のマークである。他によく見かける大手飲料メーカーの物では○の中にCANと書かれた物がある。これは東洋製罐のものだ。
これは、コカコーラのボトルで、CCEJPと書かれている。Coca-Cola East Japan Productsの略で、これもコカコーラでボトルを膨らましていることがよくわかる例だ。
これはクリスタルガイザーのボトル底部分だが、上で紹介した日本製の物とあきらかに違いがある。
それは中心部分がきれいになっているのときれいになっていなく、白っぽくなっているという点だ。これはプリフォーム成型時によるもので、一般的に海外製ペットボトルは白っぽくなっているが、日本製はきれいになっているという違いだけを今回は書いておこう。
ちなみに、日本製でも、このようにボトル中心部付近に若干白い物がみえるが、これはプリフォーム成型時に出来る物。これを消すのはかなり大変だ。
ペットボトルの加工について、ご存じでしたら教えてください。
そそぎ口を、熱加工で32mmに広げたいのですが、ヘナヘナ、ベコベコにならないで、きれいな大きい丸になる簡単な方法はありますか。よろしくお願い致します。
こんにちは
一時期あったゲータレードなどの広口タイプを使うか、通常のボトルを使うなら、樹脂が柔らかくなる200~300℃程度に口の部分だけ加熱して、少しずつ広げ、目的のサイズの金属などを使って型を取るような方法で技術的には可能かと思います。
しかし、単に穴を広げるだけなら技術的に出来ないことはありませんが、ねじの部分や、結晶化度までコントロールするのはそれなりの設備がなければ難しいです。
こんにちは、早速のご返事ありがとうございました。
そそぎ口の加工は、結晶化の温度(2~300°)でコントロールしなければならないとの事ですね、胴体部分はそれより低温度でフニャフニャにねってしまうようなので、注ぎ口を局所的に熱くするのは難しいです。
ドライヤーで熱するにしても、結晶化温度まで上昇できるか怪しいし、以前ガスコンロで熱した時は、表面部分だけが熱くなり、注ぎ口全体が熱くなる頃には表面が焦げてしまいました。そして胴体はフニャフニャでした。(急いで熱くし過ぎたせいでしょうか、でもどの位の時間が適当かわかりません)
注ぎ口を丸のまま、大きく広げる熱加工は、素人では無理っぽい気分になってきました。
何か別の方法はないでしょうか。
口の部分が白い物は300℃ちかい温度が必要になりますが、透明なら150℃前後でも十分加工可能です。
ミネラルウォーターなどのボトルは全部透明で、結晶化されていませんが、口が白いお茶などのボトル(例外もある)は胴体部分も透明ですが結晶化されていますので、お湯に入れても形は変形しないはずです。
その口を白く加工するのは、ペットボトル工場でも比較的難しい技術となります。
一般的に局所的に加熱するためにはヒーターを使います。加熱させたくないところは熱が伝わらないように冷却します。
焦げると言うことは、温度が高すぎるか加熱時間が長すぎるかのどちらかです。温度は高くても300℃まで、長くても数分でやってください。
ということで、はっきり言って難しいです。
比較的簡単にできるかもしれない加工方法を考えてみました。
用意する物、ペットボトルが入る水槽のような物、加工したいサイズの金属の型、ヒーター
手順
水槽にペットボトルを沈める(中に水も入れる)
加工したい部分を水から出しておく
ヒーターで加工したい部分を300℃近くまで加工する。
樹脂が柔らかくなったら、金属の型をその部分にはめ込む
冷却する
こんな感じでどうでしょうか?
ヒーターで暖めすぎると、水槽の水も加熱してしまうので、なるべく早く加熱するか、水槽の水を循環させる必要も出てくるかもしれません。
ちなみに、樹脂は完全に固まると収縮するので、型を取り出すのが大変になるかもしれません。
大変すばらしいアイデアを、ありがとうございまず。
5.のアイデアは、私でも可能だと思いますので実験してみます。
バケツに水を張り、全体が透明なボトルを注ぎ口を残して水没させます。
1200Wのドライヤーで熱し、軟らかくします。(可能かな?)
ゆるいテーパー(円錐状)の棒を作っておき、注ぎ口にねじ込んで大きくしてみます。
6.の現象に注意して、若干大きめにします。
ご相談にのっていただき、大変ありがとうございました。うまくいけばEHアンテナの胴体部に使えるかも知れません。
おそれいりますが1件ご教示賜りたく。
ペットボトルでもサーバーに設置する3ガロン、5ガロンの水ボトルや調味料のボトルなどでは、縦に2つに割ったものを貼り付けたような痕があるものが見受けられます。これらのボトルと継ぎ目のないボトルとではどのように製造方法が異なるのでしょうか。また製造コストが大きく変わるのでしょうか。
伊藤さま
例えば醤油など調味料で使われているPETボトルは、一般的に飲み物のボトルと作り方は同じです。縦に貼り付けたような跡に見えるのは製造時に出来る金型のつなぎ目で、パーティングラインなどと言われています。これはよくみれば、飲み物のボトルにもあります。
似たようなボトルで、製造方法が違うのはシャンプーなどのボトルです。
裏を見ると、丸い跡が見えるのが一般的なPETボトルの作られ方をした物で、シャンプーなどのボトルは、細長い跡が見えると思いますが、これはダイレクトブローという方式で作った物です。
これは、行程が少ないなど、一般的なPETボトルよりも製造コストが安くなります。
そもそもウオーターサーバーで使っているボトルの材質が何かはよく知りませんが、PETだとしても、二つに分かれた物を貼り合わせるというような製造方法はしていないと思われます。
具体的にどのような製造方法かは、そのボトルを見てみないと判断できません。