テレビを見ていたら、大和ハウス工業のCMで、CO2排出を減らせる家 「エコバッグ」篇というのをやっていた。
このCMによるとレジ袋を断りエコバッグを使うことで、62gのCO2排出が削減できるとのことだった。
なんとなくこの数字が嘘くさかったので、自分で計算してみた。
その前に大和ハウス工業のWebサイトで公開されているCMを再確認すると、62gという数値は
環境省「めざせ1人、1kg ~チーム・マイナス6%~」より出展。
と小さい時で補足されていた事が確認できた。
めざせ1人1日1kg削減!のことだろう。確認してみると、
お気に入りにのマイバックでお買い物!
お店では包装の少ない品物を選ぶ!
で、CO2マイナス62gと書いてある。
環境省が言いたいところは、単に一回レジ袋を断るのではなく、無駄な包装がない物を選ぶなど、いろいろなことをやって、やっとマイナス62gになる。ということなのだろう。
少なくとも、環境省のサイトには数値の根拠が書いていないようだが、大和ハウス工業のような大企業のCMに勘違いした数値が使われてしまうので、数値の根拠などをしっかりと書く必要があると思う。
レジ袋のCO2排出量計算
スーパーやコンビニなどで使われているレジ袋は、ポリエチレン製だ。
ポリエチレンは炭素(C)と水素(H)で構成されているプラスチック。ビニール袋と言う方も多いが、ビニールとは塩化ビニルから来る言葉であり、塩化ビニルを使用していない袋をのことをビニール袋と呼ぶのは正しくない。
ポリエチレンからCO2が排出されるというのは、ポリエチレンを燃やす反応であり、理論的には、ポリエチレン(C2H4)と酸素(O2)を反応させ、その結果、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)が発生する反応だ。
これを化学式で書くとこうなる。
C2H4+O2→CO2+H2O
これは化学的に正しくないので、正確に書くとこうなる。
ポリエチレンの完全燃焼式(高校生なら理解可能)
C2H4+3O2→2CO2+2H20
ということで、この式から計算するとポリエチレン28gを燃焼させると88gの二酸化炭素(CO2)が発生するという事になる。
炭素(C)の分子量を12、水素(H)を1、酸素(O)を16とした場合。
レジ袋の重量を測定したところ、手提げ部分も入れて、53cm×30cmの一般的なサイズの袋で7gであった。
ポリエチレン28gを完全燃焼させた場合に発生するCO2の量は88gだから、7gのレジ袋を完全燃焼させた場合に発生するCO2の量は22gとなる。
ということで、大和ハウス工業のCMのように、レジ袋を断るくらいで62gのCO2排出を減らすことは出来ない。レジ袋20g程度(3袋程度)断ることで、62gのCO2排出を減らすことは出来るかもしれない。
そもそも、発電などのため、原油や石炭を燃やして発生するCO2と、様々なことに使用した後のレジ袋を燃やし、発電などにも使った場合に発生するCO2は同じだろうか。
インチキ環境情報もはびこる中、正しい知識でこの問題を考えたい。
レジ袋製造段階からのCO2排出量は次の記事で計算してみた。
参考
その辺にあった袋の重量
いなげや 53cm x 30cm 7g
丸善 36cm x 24cm 7g
紀伊國屋書店 36cm x 24cm7g
ヨドバシカメラ 29cm x 19cm 6g
トレイの材質は発泡スチロールなので、ポリスチレン
ラップの物質は様々な物があり、何が使われているかは、よくわからない。
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ピンバック: レジ袋を燃やすときに必要な空気の量は? - kamikura.com Blog
こんにちわ.
興味深い計算結果ですね.
単純に袋1枚に対する二酸化炭素排出量ではなく
生産時に必要なエネルギーや
海外で生産して空輸するときに必要な燃料なども計算に入れると
62gに近付くかもしれませんよ.
政府は数十グラムの排出量削減を推奨しているのに
高速料金を1000円にしたりするんですよね.
なんとなくの計算では車を1000キロ走らせると
250kgぐらいの二酸化炭素が排出されます.
袋に換算すると
1日に2枚使ったとして5年以上かかります.
日本の政治はもうだめですね…