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ドバイはまだ始まったばかりでしょ。夏は過酷だけど

UAE Picture 2009 July

ドバイの政府系持ち株会社のドバイワールドと、その傘下の不動産開発企業ナキール債務支払い猶予に関して金融界などに衝撃が走っているようだ。
そもそも、ドバイがバブルであることは誰もが知っていることだし、総額590億ドル(5兆円程度)の債務というのも、どこかの国の地方などを含めた、返す見込みのない1000兆円の債務を考えればたいしたことはない。

ドバイという地域をよく知らない人も多いが、アラブ首長国連邦(UAE:United Arab Emirates)の中のドバイ首長国である。アラブ首長国連邦は他にはアブダビやシャルージャなどがある。アメリカ合衆国で言えば、アブダビがニューヨーク州で、ドバイがカリフォルニア州みたいなものだ。

そのドバイは原油で儲けた金で、巨大な開発をしてきたと思っている方もいるがこれは正しくない。ドバイ自体の原油埋蔵量はたいしたことなく、ドバイは原油で儲けた投資家などに、ドバイ自体に投資させて急成長したというような感じである。

実際、ドバイのショッピングモールには、日本で言えば英会話スクールや、クレジットカードの会員募集するかのように、投資の勧誘をしている。
ドバイにあるBurJumanというショッピングモールに行った際、投資会社のロシア系社員らしき人物から、「パスポートを見せろ」と言われた。
「何でそんな物が必要なのか?」と聞くと、国籍を知りたいらしく、日本人と答えると、投資について話し始めた。
動画の22秒くらいにある、ZARAの横の光ってるカウンターのところ。


もちろん投資と言っても、証券会社や金、FXなどの口座開設させるような甘っちょろい物ではない。機関投資家をショッピングモールで募集しているような物だ。ドバイとはそういう場所なのである。

そのドバイは、今まで、とにかく道路や建物などのインフラ整備に必死だった。
2008年まではバブルその物で、道路の渋滞も激しかったとのことだが、その影響もあってMRT(電車みたいな物)も急ピッチで建設し、2009年夏にとりあえず開通した。
これらの工事に携わっているのは、インドなどからの出稼ぎ労働者。彼らは労働者用の宿舎で寝泊まりして働いている。
彼らが作っているのは、道路などのインフラに加えて、オフィスビルや裕福層向けの住宅など。

UAE Picture 2009 July

そのオフィスビルは2009年7月に見る限り、空きがかなり多い。具体的な数値はわからないが、結構な割合であいているのだろう。それでも、建設途中のビル建築は継続しておりさらに空きは増えると思われる。
そのオフィスに入居するような中間層が住みやすい住宅は、どの程度用意されているのかよくわからないが、ドバイの隣のシャルージャに住んでいる方も多いようだ。シャルージャ自体は大規模な開発はしていないが、ドバイから近く通勤にもあまり困らない。

UAE Picture 2009 July

基本的にドバイは日本などのように、不動産取引は自由化されていないが、埋め立てたPalm Jumeirahなどは、フリーゾーンとして裕福層向けの住宅などがある。
おそらくここで不動産を購入する層は、ドバイで労働しようとは思っていないだろう。オフィスビルはたくさんあるが、いったい誰がそのオフィスを使うのか疑問である。

UAE Picture 2009 July

住宅とオフィスに加えて開発しているのが、ショッピングモール。大きなショッピングモールはいくつかあり、観光客やドバイの住民にそこそこ人気のようだ。
平日の真っ昼間に行ってもどこへ行っても結構人は多い。夜になるとさらに増えるので、ショッピングモールの需要自体はそこそこあるようだ。
観光客は、ドバイ周辺国やヨーロッパなどを中心にいるようだ。日本を含め、アジア系はほとんど見ない。
建築労働者以外の労働者は、世界中から来ているようで、ロシアやアフリカ、ヨーロッパに、東南アジアなど世界中から集まっている。
パキスタンからの労働者も多いが、なぜかバスやタクシーの運転手のほとんどがパキスタン人。

一般市民の住みやすさという点では、タクシーは最低料金10ディルハムで実質日本の1/10程度だし、バスも安い。
スーパーなどで売っている食料品も、ドバイでは生産できないような生鮮食品などを含めて日本よりも安い。感覚的にはアメリカのスーパーのような感じだ。
住宅事情はよくわからないが、住むには困らないだろう。

UAE Picture 2009 July

問題は気候で、7月に行ったときは死ぬほど暑かった。アメリカのラスベガスなどのように、暑いけど乾燥しているのならなんとか我慢も出来るが、ものすごい湿度で温度は40度を超えているような環境なのである。
海に面しているので、熱で蒸発した海の水が湿度になっているのだろう。夏場は湿気と砂で遠くもよく見えない。冬などは住みやすくなるようだが、はっきり言って、夏場は人の住むようなところでない。

面積的にはロスアンゼルスのようなところを、ここ20年くらいで急速に開発したのだからぼろが出るのも仕方ない。ラスベガスのようにこじんまりとまとめたり、カジノを中心としたエンターテイメント都市になるならともかく、オフィスビルと、ショッピングモールに裕福層向け別荘では行き詰まってしまうのも当然だ。

2009年からは開発も縮小するだろうし、立て直すために何らかの新しい動きをするのだろう。
なんだかんだ言っても、ドバイはいろいろな意味で楽しいところだ。住むところが快適で仕事さえあれば、数年ドバイで働くというのもおもしろいとは思う。

観光で行くなら、ドバイもおもしろいが、より中東っぽい雰囲気を知りたかったら、近隣のシャルージャやアブダビに行くといい。
個人的にはシャルージャあたりの風景は、FPSに出てきそうな建物がたくさんあって中東っぽさを味わえたし、生粋の地元民の日常が垣間見れたのはアブダビだ。