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アルミ缶の飲み物が激減し、ペットボトルだらけになった理由

ここ何年もむかついていることがある。
出先などで飲み物を買おうとすると、コンビニや駅の売店など、ほとんどの売り物がペットボトル入りとなっていることだ。

ペットボトルなんてのは素材としてアルミ缶に比べコストも高いし、重量もアルミ缶より重い。
なにしろアルミ缶で350mlだった飲み物が100円から120円程度だったのに比べ、500mlのペットボトルは150円程度と高いのだ。
なにより500mlもいらんのだ。350mlでいい。蓋出来るとか、ペットボトル自体便利な面もあり、アルミ缶か、ペットボトルのどちらかを選べるような状況ならまだいいが、ほとんどすべての飲み物がペットボトルとなり、選びようが無いため、この状況にむかついてるなら、買わないという選択肢しか無くなってしまった。

環境のことを考えたら、リサイクルが簡単なアルミ缶を選んだ方がいいのだが、ペットボトルが主流となってしまった今、アルミ缶に戻すのはかなり困難を伴う。

例えば、ペットボトルとアルミ缶で同じ飲み物が並んでいた場合、環境保護団体やその容器の利権関係者でもなければ、ペットボトルの方が圧倒的に選ばれるだろう。
これが、何らかの影響で逆転したとしてもアルミ缶ばかりだった10年ほど前の状況に戻るのは困難を伴う。

飲料業界の産業構造が変わってしまったのだ。

ビールなど醸造技術が必要なアルコール類はともかく、砂糖水に味をつけたり、お茶をどうにかするだけのような飲料業界はレシピさえあればなんとかなる。
そもそも、コカコーラなどは原液をアメリカから輸入し、炭酸水などで薄めているだけ(詳しくは知らん)なので、誰でも作れる。

そのため、飲料メーカーが自社で容器に充填せず、飲み物の原液やレシピなどを充填専業のボトラーにまかせるというビジネスがある。
これは、その辺の町工場であるボトラーが、容器メーカーからアルミ缶や瓶、ペットボトルなどを購入し、容器に入れて蓋して流通に流すのである。
もちろん、各飲料メーカーの工場でも同じ事をしているが、たまたま需要が増えた場合など、工場を増設することなく、外部のボトラーに依頼するだけで、生産能力が増えるため、経済的なメリットが大きい。

従来の飲料業界では、飲料メーカー、ボトラー、容器メーカーなど、昔からあるそれぞれのメーカーが専門分野だけを行っていた。
新しい飲料の開発や長年築いたブランドなどは強く、昔からある飲料メーカーが強いし、ガラスの瓶や、アルミやスチール缶は、設備投資、製造ノウハウなど専業メーカーにかなわないため、例えば飲料メーカーが自社でつくろうと思ってもそう簡単ではない。

しかし、ペットボトルは金属加工などに比べ比較的簡単なプラスチック加工の技術があれば可能だ。
製造装置もほとんどが海外メーカーだが専門業者から買ってくるだけなので、どの部分を自社で生産するかにもよるが、ある程度プラスチック加工の知識のある技術者さえどこかから引っ張ってくれば、比較的簡単に自社生産が可能なのだ。

最近では、飲料メーカーが、自社のペットボトルの工場を、飲料工場に併設するように建設し、ボトルをつくってすぐに充填という効率の良い事をやっているのである。

どの容器がどのメーカー製なのかはペットボトルの裏を見ればわかるが、コカコーラーの製品はほとんど自社生産、他の大手企業もかなりの部分を自社生産に切り替えている。吉野工業所東洋製罐などのメーカーロゴ入りの容器はなかなかみつからない。

今までは、容器メーカーから決まった形状のアルミ缶や瓶などを空の状態で運んでいたわけで、この運送コストが抑えられるのはもちろんのこと、容器自体を自社でコントロールすることで、変わった容器の開発も自由度が高く、より魅力的な製品をタイムリーに市場投入できるのだ。

自社の容器工場を持ってしまっては、ペットボトルからアルミ缶へと逆戻りするのは困難なのだ。

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