PS Vita 3G版事実上の終了

SCEが2011年末に市場投入した新ゲーム機PS Vitaは、従来のゲームソフトを売るだけではなく、携帯電話のデータ通信網を使用する3G通信、ソフトのダウンロードコンテンツなどの付加価値を加えることによって利益を出そうという計画らしい。
これはソニー自体の経営方針にも含まれているが、どうやらこの計画の一部は失敗していることが、事実上判明した。

PS Vita 3G版はプリペイド契約などの状況から計算し、おおよそPS Vita全体の1/3程度の売り上げのようだ。
PS Vita 3G版の初回出荷50万台(発売から半年たっても売り切れていない)には無料通信分などがついており、2011年12月の発売直後に購入し、プリペイド契約した方の多くは、2012年6月までにその使用期限となる。

3G機能が必要で、お金を支払う価値がないと思ったユーザーはこの時点で契約を更新しないというわけで、3G版が必要だったかどうかが判断できるため、ドコモが発表する契約者の数字がどうなるかが注目されていた。

実際の数値では2011年12月のプリペイド純増数は191,800件、2012年6月の純増数はマイナス98,700件。

発売直後のPS Vitaは30万台程度販売され、初期購入者のゲーム好きは最上位モデルを求める場合も多いため、3G版のユーザーの割合は若干多かったと想定される。おそらく、最大で15万台程度のユーザーが発売直後に3Gの契約をしたと想定される。

ドコモの2012年12月のプリペイド契約純増数(事実上PS Vita 3Gの契約者数となる)は約20万件なので、12月に販売された総販売台数から計算すると、発売直後に15万台程度が3Gの契約したというのはそれほど離れていない数値のようだ。

その後、月に1.5万件前後の契約があるようで、2012年6月も1.5万件程度の契約があったことが予想されるが、純増数では約10万件の契約減となっている。
つまり、これを踏まえると12万人近くのユーザーがPS Vitaの3G契約の延長をしなかったと言うことだ。
初期に購入したPS Vita 3G版ユーザーの8割近くが、3Gの機能を使用していないということになる。

実際、PS Vitaの3G版には3Gを生かした機能は特になく、契約していてもほとんど価値はない。

今後、数ヶ月でこの数字はさらにはっきりしていくが、ほとんど活用されていない3G版のPS Vitaはユーザーにとってほとんど何の価値もないことが今回の数字で判明した。
SCEにとってもこれ以上3G版をラインナップに加えていても何の意味もない。

NTTドコモ 月次契約数データ