投稿者「kamikura」のアーカイブ

Google

Googleプロダクトエキスパートとウクライナ問題

Googleのヘルプコミュニティで質問に回答などしていると、Googleからよく回答している褒美としてプロダクトエキスパートのラベルをもらえます。

単にラベルがつくだけでなく、さらに一定の活動をしていると、いくつかの特典を得られます。その中に、世界中のプロダクトエキスパートとの集い参加権も得られます。

その集いへの参加し、各地域の人達と交流することこそが、このプログラムに参加することの利点と個人的には考えています。その集いがGoogleプロダクトエキスパートサミット(Google Product Expert Summit)略してPE Sumitです。2018年以前はGoogle Top Contributor(トップレベルユーザー)略してTC Summitと呼ばれていました。

2018年のPE Summit

PE Summitは年に1度世界のどこかで開催され、世界中から参加者が集まるわけですが、今まで最も規模が大きかったのが2018年のアメリカ・サンフランシスコ(正しくはSunnyvale)で行われた物で、600人ほどが参加していたようです。

その時もそうですが、世界中の様々な人達と交流すると様々な国際問題が身近な物に感じられます。
2018年の時は、トランプ政権時でアメリカへの渡航が難しい時期でした。特にアジア圏からビザの関係でサミットに参加出来ない人が多数いたとか、ロシアではモスクワのアメリカ大使館へビザを取りに行くのが遠すぎて大変だとか、どこの国でも簡単に行ける日本との状況の違いに驚くこと多いです。
それも2020年からはオンライン開催で、他の地域の人達との交流が難しい状況で、ざっくばらんな交流は難しく、リアル開催との差はかなり大きいです。

2015年のSummit

リアル開催での交流の楽しさに気づいたのが、2015年にサンフランシスコ(この時は本当にSan Francisco)で開催された時です。日本からは地球の裏側のブラジルの方と交流したりなどの普通の交流はもちろん、日本から様々な面で遠い地域の人達との交流も出来ます。
アフリカの人が、日本と韓国の政治対立に詳しいなど、参加者の幅の広さが実感できたり等、交流すればするほど感慨深くなります。

その中でも特に印象に残っているのが、ロシア系の参加者との交流です。
写真を頼まれて画面をみたら、言語がロシア語っぽかったので、ロシアから来たんですかと聞いたところ、ウクライナからとのこと。
2015年といえば、2014年のクリミア危機の直後で、国内で戦争みたいなことをやってるのに、よくこんな所に来れたなと驚いた物です。

Googleはウクライナ語(українська мова)にも対応しています。

もちろんロシアからの参加者もいますが、ウクライナとは言葉や文化が近いからか、ロシア語圏の人達は仲が良いようです。宿泊したホテルのプールではロシア、ウクライナ系の人達がかなりはしゃいでいました。

このような状況は世界各国で同じで、日本と韓国など、政治的に対立していてもユーザー同士は何の問題も無いのに世の中は不条理なこを実感できます。

https://support.google.com/communities/answer/9138806

Adobe製品のApple Silicon最適化を考える

IntelからApple Siliconへ移行したMacBook Proなどが登場し、各ソフトがApple Siliconに順次ネイティブ対応しています。
その中でもAdobe製品は単なるネイティブ対応に加え、Apple Siliconへの最適化がかなり進んでいます。

定期的なAdobe CC製品のアップデートの中で、AdobeはApple Siliconに最適化したことで数倍高速になったことをアピールしています。
そもそもこのApple Siliconの最適化は他のCPUやGPUに比べてどうなんでしょうか。

2022年2月8日発表したAdobe Premier Proの「音声のテキスト化」に関するアップデートではオフラインのテキスト化に対応し、Core i9(12900K)とApple M1で3倍高速に、他のCPUでは2倍とされています。

今回はApple M1シリーズに加えて、なぜかIntel Core i9向けにも最適化がされたようです。
CPUのどの機能を使っているのかなどは不明ですが、特定のCPUに真っ先に対応するというのはどのような考えでやっているのでしょうか。

技術者的視点で考えてみる

年に一度開催するAdobe製品のクリエイター向けイベントAdobe MAXの中に、Sneaksという人気のイベントがあります。
これは同社の技術者が今後製品に搭載するかどうかは不明ながら、ユーザーがビックリするような機能を紹介するイベントです。

今では当たり前に使える画像に写っている物を消したりなど、初めてお披露目したときはビックリ仰天するような事、すごかったけどどっかに行った物もある気がしますが、多くのデモは公開から数年程度で製品に実装されています。

注目なのがこのようなデモ自体では無く、これをやる技術者がいるし、社内がそのような体制になっているという事です。

おそらく、次のMAX用にこんな機能を開発しろと会社が命令しているのでは無く、技術者が自主的に新技術を開発したり研究しているのでしょう。

技術者的には上司に言われた誰かが適当に実装した結果のつまらないバグとりより、クールな新機能を実装したいわけで、

今注目の新CPUは最適化するとかなり早くなりそうだからやってみよう。実際、やってみたら数倍高速化した。これをやった俺ってすごい。

のような経緯で、技術者が自主的にやっているに違いありません。
Windows含めて最もユーザーが多いだろIntel Core i7の各CPUに最適化する事でも何割かは高速化できるでしょうが、よりクールなのは新しいアーキテクチャのApple Siliconです。

NVIDIA Jetsonのロードマップ2022年1月版

NVIDIA Jetsonのロードマップは知らない間に更新されています。(どっかで発表されているのかも知れないけど、Enthusiastic follower(なんだそれ)でもなければ気づかない)
2022年、2023年のロードマップも知らない間に更新されていました。

ここに書く内容は2022年1月現在の情報です。

従来は2022年の予定製品名等は何も公表されていませんでしたが、知らない間に公開されていました。

Jetsonのモジュールは2022年に$899からのAGX OrinAGX Xavier 64GBに加えて$249からのOrin NXXavier NX 16GBがリリースされます。RTX 30系列と同じAmpere世代になるようです。
エントリー向けで$99からは現行モデルはNanoですが、Nano Nextは2023年にリリースされます。

2021年末まで現役モデルだったAGX Xavier、Xavier NX、TX2 NX、NanoなどはVolta世代で2025年から2026年にサポート終了になります。

JetsonのソフトウェアJetPackは2021年末現在で4.6系列ですが、2022年にJetPack 5.0が提供される予定で、メインストリーム以上で利用出来るようになるようです。Nano NextはJetPack 5.0対応になるのでしょうか。

JetPack 4.6はCUDA 10系で、CUDA 11になるのがJetPack 5.0からです。

2022年までエントリーモデルのJetson NanoはMaxwell世代なので、2023年のモデルでどうなるのでしょうか。

https://developer.nvidia.com/embedded/develop/roadmap

2022年3月 GTC 2022関連追記

GTC 2022での発表
GTC 2022でのJetPack 5.0の発表

GTC 2022, NVIDIA Jetson Software: Bringing NVIDIA Accelerated Technologies to the Edge [SE2245]
において、JetPack 4.6.1が2022年3月10日にリリース。JetPack 5.0(Kernel 5.10, Ubuntu 20.04, UEFIなど)のDeveloper Previewのリリース。
JetPack 5.0 Preview 2が2022年Q3、Production Releaseが2022年Q4になる事が公表された。

Amazon以外から直接買う電子書籍

電子書籍は将来起こりえるプラットフォームの衰退による問題を考えると、AmazonのKindleか、楽天のKoboのどちらかと考えている方が多いと思います。

この2つも5年後は大丈夫でしょうが、10年後はわかりません。
実際の所、正解は特定のプラットフォームに依存しないPDFやePubなどによる直接の購入です。

PDFやePubで直接購入できる出版社を調べました。(PDFなどは罠があるかも知れないので購入時は注意しましょう)

自分で電子書籍を直接販売している出版社

オライリー・ジャパン
https://www.oreilly.co.jp
ePub、PDF

インプレス
https://book.impress.co.jp
PDF

翔泳社
https://www.seshop.com
PDF

マイナビ出版
https://book.mynavi.jp
PDF

他に見つけたら追加します。

無い所

SBクリエイティブ
秀和システム
MdN
小学館
講談社
集英社
新潮社
学研
かんき出版

2021年12月17日調べ

プログラミング言語C K&R

C言語の本 K&R 「プログラミング言語C」の刷数

Brian W. Kernighan(カーニハン)、Dennis M. Ritchie(リッチー)によるC言語の書籍 The C Programming language(プログラミング言語C)は、原書では1978年に発売されています。その後に様々なC言語本が出版されていますが、「プログラミング言語C」は出版から40年以上経っても、C言語のバイブルと呼ばれています。
実際、C言語が 1989年にANSI規格になる前はC言語開発者による書籍だったこともあり、実質規格書のように使われ、ANSI(C89)前はK&R規格のような使われ方もしていたようです。

この本は、2人の筆者のイニシャルからK&R本、K&Rなどとも言われています。

この日本語版は共立出版から1981年に出版され、ANSI対応版も1989年に発売されています。40年経った2021年になっても売れ続けているようです。
技術書の超大ベストセラーと言えます。

実際にどのくらい刷られているのかを調べてみました。

刷られているというのは、仮に初版1刷りで1万部出版したとして、その本が売り切れるような場合に、追加で刷って出荷するという事です。重版とも言われます。
一般的な本、ほとんどの本は出しても売れないため、初版1刷りで終わりです。1回の刷りで出す部数は本の種類や人気度によっても異なります。
出しても売れなければ大損なのでうまく計算して行われていますが、人気漫画なら数十万部でしょうが、文字だけの一般書なら数万部でもかなり多い方です。一般的には1万前後のようです。
このような価格も高く、読者層も限られる技術書は初版で5,000部でも多い方です。

K&Rの日本版が1回の刷りでどのくらい出しているのか不明ですが、一般的な技術書の場合、多い場合でも初版で5,000部程度、重版で2,000部程度ではないでしょうか。
少ないと初版1,000部ということもあるようです。

バイブルと呼ばれていても、この本はC言語初心者向けの本ではありません。
プログラミングやC言語の初心者の方は素直に「誰でもわかるC言語」(こんなタイトルの本は実在しません)みたいな本を買いましょう。
おそらく何も知らないでこの本を鵜呑みにすると、1つめのコードのビルドから警告が出て挫折します。

そんな特殊な技術書がどのくらい刷を重ねているかを、ネット情報も駆使して調べてみます。

原書

K&R原書

初版(1st Edition) 1978年
第2版(2nd Edition) 1988年

日本語版の初版

初版の65刷

1981年7月20日 初版1刷発行
https://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320021457

1983年 14刷

1984年 32刷

1984年11月30日 45刷
https://see-ku.com/book/k-and-r/index.html

1986年1月25日 65刷

第2版 (緑の表紙)

ANSI規格準拠の第2版の初版(?)

1989年6月15日 初版1刷

1990年4月25日 41刷
https://twitter.com/tae_sat3/status/949511748473663488

1991年4月1日 91刷
https://electrelic.com/electrelic/node/1320

緑の表紙の101刷

1992年2月20日 101刷
https://kmaebashi.hatenablog.com/entry/2017/09/13/022824

第2版 (白い表紙)

緑の表紙カバーの翻訳改定版で、表紙カバーが白くなった。第2版の実質第2版(第3版?)
何刷からこの版になったかは不明だが、白い表紙版には1994年2月付の挨拶文があるので、この時期の可能性がある。
実際にその後の200刷程度までは表紙等に訳書訂正版という表記がある。

訳書訂正版

1994年3月10日 第2版156刷
https://jp.mercari.com/item/m25459670152

1997年5月1日 191刷
https://jp.mercari.com/item/m37068776348

1997年5月1日 211刷

1999年1月 231刷
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/mendoxi/bug/c-lang.html

2000年4月15日 253刷
https://bokko.hatenablog.com/entry/20080621/1214059775

2003年9月10日 288刷
https://jp.mercari.com/item/m56627402670

2005年5月15日 301刷
https://twitter.com/goakafu/status/949887866951233536

白い表紙の第2版326刷

2009年9月15日 326刷

2014年9月30日 340刷
https://twitter.com/nagise/status/949275386801635330

2018年6月1日 347刷

2018年の347刷
2021年1月20日の348刷

発行直後は週刊、それ以降2005年頃までは月刊で刷っており、それ以降は季刊のような感じになっているようです。
347から348は2.5年かかっているので、349が出るのは2024年頃かも知れません。デジタル版の発行部数も気になります。

追記(2022年8月)
2022年1月20日に350刷が出てました。何かのタイミングで半年に1回は増刷してるのかも知れません。すると、これを書いている2022年8月現在351刷が出ててもおかしくないです。

追記(2024年8月)
2024年2月25日に353刷が出てました。

実際何部出ているのか

今回は2018年までのデータしかありませんが、常に売れ続けているので、ちょっと多めに初版含め、1刷あたり2,000部と仮定します。

2,000部 x 348 刷 = 69.4万部

売れている一般の小説などは、短期間に100万部などという話を数年に一度くらい耳にしますが、40年売れ続けている技術書だとこの程度です。
技術書で全国の書店に出回るようなレベルの毎回1万部刷るような事は少ないです。

印税は本の価格の10%が標準なので、K&R本の価格2,800円の10% × 約70万部で約2億円です。
翻訳本なので筆者、翻訳者がこの金額を得られますが、詳細や契約内容によります。翻訳の印税等は契約によって異なるので、実際にどうなっているのかはわかりません。

原書の著者の印税は、おそらく世界中で技術書の中ではベストセラーになっているでしょうから、各国版合わせた筆者の印税は相当な金額になっているでしょう。