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ペットボトルの再利用はやはりできないと判断された件

ペットボトル再使用は困難 衛生面不安と業界見解 共同通信

飲料などの業界団体でつくるPETボトルリサイクル推進協議会は5日までに、環境省が導入を検討してきた使用済みペットボトルの再使用制度について、洗浄しても汚れが完全に除去できない恐れがあるとして、日本での本格導入は困難との見解をまとめた。

これは2008年2月頃に環境省が導入を検討したことで、この頃、実際に一部小さな範囲でやっているというドイツへ10人くらいが視察に行くなどしたはずだが、結局実現しないことになったようだ。

この件に関しては2008年3月1日に実現できないと言うことを書いている。

日本でペットボトルの再利用はほぼ実現不可能

私なら1日も掛からず判断できたことを、3年もかけて何をやっていたのか疑問であるが、まあ当然の結論である。

再利用やリサイクルをよく知らない人もいるようなので書いておくと、ペットボトルはPETボトル、つまりポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)で作られた飲料のボトルである。
その、樹脂をどうするかが問題である。

ボトルをそのまま飲料用に使用する 再利用
ボトルを回収し、樹脂として再利用し、ポリエステル(PET)繊維などで使う リサイクル
ボトルを回収し、樹脂を分解し、再度PETとして重合 リサイクル
ボトルを回収し、樹脂を他の物と混ぜて使う リサイクル
ボトルを回収し、樹脂を燃やして熱として再利用 リサイクル

このように、そのまま廃棄する以外はほとんどの方法がリサイクルであって、再利用とは意味が異なる。

本当の意味でペットボトルをどうにかしたければ、イメージだけエコな薄型ボトルなどを使わず、そもそも使わなければいいのである。

ペットボトルの飲み口が白い理由

ペットボトルの飲み口部分は白い物と透明な物がある。
一般的に、お茶系の飲料などは白くて、ミネラルウォーターや炭酸飲料系は透明な物が多い。

本体は透明なのに、飲み口の部分は白いのはどうやって作っているのか、そもそもなぜ白いのか。
白い理由は各飲料メーカーのサイトに書かれているが、飲料を充填(入れ物に入れること)したあと、熱をかけて殺菌するのに耐えられるようにするためだ。

なぜ白くなると熱による殺菌に強くなるかは、ペットボトルに使われているポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を結晶化させることで、熱に強くなるからである。
透明な部分は、非結晶の状態で熱に弱い。
白くして、結晶化させるだけで、同じ材料なのに熱に強くなったり弱くなったりと性質が変わるのが高分子(プラスチック)の面白いところだ。
このあたりの詳しいところは、高分子について勉強する必要がある。(大学レベルである)

この加工方法は簡単で、透明な状態の口の部分に熱をかけるだけだ。
ペットボトルを製造行程は、試験管状のプリフォームという物を作り、それを膨らましてペットボトルの形状にする。
口の部分が白い物は、このプリフォームを作ったあとに、口の部分だけ熱をかけて白くする。このため口が白いとぼるは製造工程が多く、コストが高くなる。

ちなみに、樹脂は熱をかけたりすると形状が変わるので、口の部分が透明な物と、白い物は共通化できない。
口の白いボトルは完全に新規に製造している。

ということで、口が透明なボトルを白くしたり、その逆を実際にやってみた。


ペットボトルおもしろ実験 口部結晶化編 – PET Bottle Crystallization
http://www.youtube.com/watch?v=_ZU47c30PBA

ペットボトルのキャップを集めてリサイクルって

ペットボトルのキャップを集め、400個で1kgになるが、それ(1kg分)を10円で売るらしい。
その売却代金がワクチンになって、どこかの国で使われるとのこと。

世界の子供にワクチンを日本委員会

ペットボトル(PETボトル)のキャップは、ポリエチレンかポリプロピレン製だ。
歴史的経緯で言えば、ペットボトルのキャップは、金属製キャップからポリプロピレン製キャップになり、その後、ポリエチレン製のキャップが登場という流れになっている。

金属キャップは現在使われていないが、ポリプロピレンとポリエチレンの見分け方は、キャップのギザギザが細かい物がポリプロピレン製、粗い物がポリエチレン製とするのが一般的。
キャップはさらに、内側に青だったり別の色の物がついている場合があるが、これは内容物を漏れさせないためのシール。これも別のプラスチック。これがない物は漏れるわけではなく、その必要がないから。

このキャップはおおよそ1個あたり3g程度だが、これを集めてリサイクルしているということ。何にリサイクルしているのかは不明。

そもそも、材質にポリエチレンとポリプロピレンがあり、さらに色も多彩で、これから何か別の製品を作るのは大変だ。
ポリエチレンとポリプロピレンを分けることができれば品質の高い物に生まれ変われるが、技術的にそれは困難。

色がついている物は、黒にするしかない場合が多く、白い物と、色のついている物で分けることは比較的簡単だ。

そもそも、ポリエチレンやポリプロピレンの新品ペレット(原料)は1kgあたり、100円から200円程度で販売されいる。(原油が高騰した場合は300円くらいかもしれない)

1kg10円というのはずいぶん安い。どうせ分類するなら、材質と色ごとにわけると高く売れる。
ペットボトルのキャップはともかく、新品でも1kg 200円程度の価値しかないものを集めている人がいることは事実である。

どのようなリサイクルをしているかはわからないが、ポリエチレンをリサイクルするというのなら、スーパーの余ったレジ袋(一般的にポリエチレン製)を集めたっていいだろうし、他にも集めるべき物はたくさんあるだろう。
昔は、色々危険性もあったアルミ缶のタブを集めている人がいたが、タブは取り外せなくなっているのにいまだに無理矢理外して集めている人がいるらしい。このペットボトルのキャップ収集もそれに似たような物なのだろう。

リサイクルのために集めること自体は無駄ではないが、何にリサイクルしているのかなど、収集された後の事もしっかりと理解した上で、そういった活動に参加してはどうかと思う。