Amazonでプログラミング言語Cを買う
Brian W. Kernighan(カーニハン)、Dennis M. Ritchie(リッチー)によるC言語の書籍 The C Programming language(プログラミング言語C)は、原書では1978年に発売されています。その後に様々なC言語本が出版されていますが、「プログラミング言語C」は出版から40年以上経っても、C言語のバイブルと呼ばれています。 実際、C言語が 1989年にANSI規格になる前はC言語開発者による書籍だったこともあり、実質規格書のように使われ、ANSI(C89)前はK&R規格のような使われ方もしていたようです。
この本は、2人の筆者のイニシャルからK&R本、K&Rなどとも言われています。
この日本語版は共立出版から1981年に出版され、ANSI対応版も1989年に発売されています。40年経った2021年になっても売れ続けているようです。 技術書の超大ベストセラーと言えます。
実際にどのくらい刷られているのかを調べてみました。
刷られているというのは、仮に初版1刷りで1万部出版したとして、その本が売り切れるような場合に、追加で刷って出荷するという事です。重版とも言われます。 一般的な本、ほとんどの本は出しても売れないため、初版1刷りで終わりです。1回の刷りで出す部数は本の種類や人気度によっても異なります。 出しても売れなければ大損なのでうまく計算して行われていますが、人気漫画なら数十万部でしょうが、文字だけの一般書なら数万部でもかなり多い方です。一般的には1万前後のようです。 このような価格も高く、読者層も限られる技術書は初版で5,000部でも多い方です。
K&Rの日本版が1回の刷りでどのくらい出しているのか不明ですが、一般的な技術書の場合、多い場合でも初版で5,000部程度、重版で2,000部程度ではないでしょうか。 少ないと初版1,000部ということもあるようです。
バイブルと呼ばれていても、この本はC言語初心者向けの本ではありません。 プログラミングやC言語の初心者の方は素直に「誰でもわかるC言語」(こんなタイトルの本は実在しません)みたいな本を買いましょう。 おそらく何も知らないでこの本を鵜呑みにすると、1つめのコードのビルドから警告が出て挫折します。
そんな特殊な技術書がどのくらい刷を重ねているかを、ネット情報も駆使して調べてみます。
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原書
K&R原書
初版(1st Edition) 1978年 第2版(2nd Edition) 1988年
日本語版の初版
初版の65刷
1981年7月20日 初版1刷発行https://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320021457
1983年 14刷
1984年 32刷
1984年11月30日 45刷https://see-ku.com/book/k-and-r/index.html
1986年1月25日 65刷
第2版 (緑の表紙)
ANSI規格準拠の第2版の初版(?)
1989年6月15日 初版1刷
1990年4月25日 41刷https://twitter.com/tae_sat3/status/949511748473663488
1991年4月1日 91刷https://electrelic.com/electrelic/node/1320
緑の表紙の101刷
1992年2月20日 101刷https://kmaebashi.hatenablog.com/entry/2017/09/13/022824
第2版 (白い表紙)
緑の表紙カバーの翻訳改定版で、表紙カバーが白くなった。第2版の実質第2版(第3版?) 何刷からこの版になったかは不明だが、白い表紙版には1994年2月付の挨拶文があるので、この時期の可能性がある。 実際にその後の200刷程度までは表紙等に訳書訂正版という表記がある。
訳書訂正版
1994年3月10日 第2版156刷https://jp.mercari.com/item/m25459670152
1997年5月1日 191刷https://jp.mercari.com/item/m37068776348
1997年5月1日 211刷
1999年1月 231刷http://www.cam.hi-ho.ne.jp/mendoxi/bug/c-lang.html
2000年4月15日 253刷https://bokko.hatenablog.com/entry/20080621/1214059775
2003年9月10日 288刷https://jp.mercari.com/item/m56627402670
2005年5月15日 301刷https://twitter.com/goakafu/status/949887866951233536
白い表紙の第2版326刷
2009年9月15日 326刷
2014年9月30日 340刷https://twitter.com/nagise/status/949275386801635330
2018年6月1日 347刷
2018年の347刷
2021年1月20日の348刷
発行直後は週刊、それ以降2005年頃までは月刊で刷っており、それ以降は季刊のような感じになっているようです。 347から348は2.5年かかっているので、349が出るのは2024年頃かも知れません。デジタル版の発行部数も気になります。
追記(2022年8月) 2022年1月20日に350刷が出てました。何かのタイミングで半年に1回は増刷してるのかも知れません。すると、これを書いている2022年8月現在351刷が出ててもおかしくないです。
追記(2024年8月) 2024年2月25日に353刷が出てました。
実際何部出ているのか
今回は2018年までのデータしかありませんが、常に売れ続けているので、ちょっと多めに初版含め、1刷あたり2,000部と仮定します。
2,000部 x 348 刷 = 69.4万部
売れている一般の小説などは、短期間に100万部などという話を数年に一度くらい耳にしますが、40年売れ続けている技術書だとこの程度です。 技術書で全国の書店に出回るようなレベルの毎回1万部刷るような事は少ないです。
印税は本の価格の10%が標準なので、K&R本の価格2,800円の10% × 約70万部で約2億円です。 翻訳本なので筆者、翻訳者がこの金額を得られますが、詳細や契約内容によります。翻訳の印税等は契約によって異なるので、実際にどうなっているのかはわかりません。
原書の著者の印税は、おそらく世界中で技術書の中ではベストセラーになっているでしょうから、各国版合わせた筆者の印税は相当な金額になっているでしょう。